第1話 魔法

文字数 314文字

 その魔法の薬はあたしのこのドス黒い血液と混ざりこの体を巡っていく。

 心が堕ちていくのが感覚で分かる。

 とても早いようで、でもすごく遅いような
 決して止めることはできない闇の流れに身を任せる。

「あぁ…またやってしまった」

 もう数えきれない針の痕が心の奥底にある罪悪感を思い出させるが、そんなものはあまりにも無力で私の中でそれはまた始まってしまう。

 天にも昇るようなあの覚醒の時。

 地獄に堕ちていくような快楽の連続。

「もうたくさんなんだ。誰か後ろから刺してあたしを楽にしてほしい」

 心でどんな風に思っても、この脳と体はその粉から逃げることはできない。

 まるで魔法にかかってしまったかのように。

 あたしはなんて愚かで哀れなのだろう…
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