第66話 危険運転

文字数 565文字

 お母さんを殺したあの男の人が覚醒剤を使用していたと知ったのは、それからしばらくしてからでした。

 私はまだその時それが何か分かりませんでしたがお父さんはそれを聞いて私には何も言わなかったけど泣きながら怒っていました。

 新聞やニュースにも一時取り上げられましたが何をしようとお母さんはもう2度と帰ってきません。

 お母さんは死んでしまったのだから男の人にも死んでもらうのがいいと私は思いました。

 だけど男の人は何年か刑務所に入るだけで終わりだそうです。

 この国の法律はおかしいと私は初めて思いました。

 薬物に狂って車を運転して尊い命を奪ったというのに、男が私的な悩みに苦しみ覚醒剤に手を出したこと、男が罪を認め反省していること、男がそれ以前に前科がないなどのことから更正の余地はあるということになったのです。

 男の罪は覚醒剤使用と危険運転致死で10年もしない内に社会復帰してしまいます。

 これが仮に覚醒剤を使い訳が分からなくなり刃物を持ち出し人を殺してしまったのなら殺人罪になるそうですが車で人をひき殺しても殺人罪にはならないのです。

 同じことなのに…

 お母さんはもう帰ってこないのに…

 この国では殺人罪でなければ死刑の対象になりません。

 この国では事故で人を死なせたことに対する罰があまりにも軽すぎる。

 私はお母さんを返してほしい。
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