第134話 共闘

文字数 523文字

 豹那は走りだした。

『こっちだ!クソッタレ野郎!』

 アジラナはニイともう悪魔のような笑みを浮かべると右の拳を振りかぶった。
 そのまま大振りのパンチを繰り出してくるのを見計らって豹那は受けるフリをした。

 全身の感覚を研ぎ澄ましパンチをかわし腕につかみかかる。

 豹那はアジラナの腕に自分の腕を絡ませギュッと力を込めた。

『Aッ?ナンダテメェ。ナンノマネダコノクソビッチオンナガァ!』

 アジラナは左の手で容赦なく豹那を殴りつけていく。

『うっ!』

 バチン!バチン!という強烈な音と共に豹那の顔面からビュッビュッと血が飛んだ。

『豹那~!!』

 玲璃が悲痛な叫び声をあげた。悪趣味な映画でも見てるようだ。豹那の顔は赤いドロッとした血でまみれている。何ヵ所も切れたはずだ。もう血で表情も分からないが豹那は歯を食いしばった。
 玲璃はもう立つのもままならない体を起こしアジラナに向かっていく。

『やめろ~!!』

 玲璃は走れずただの歩きで拳を振り上げかかっていった。
 しかしあえなく殴り倒されるとついにもう立てなかった。

『玲璃ぃ!』

 豹那は飛び出していきたいのをこらえた。

(くそっ!チクショウ!)

 豹那が悔しさから目が潤みそうになった時、アジラナの後ろを天王道眩が取った。
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