第125話 樹対優子

文字数 509文字

 樹は厚央の中まで単車で突入した。

 見えたのは旋を寝かせる優子の姿だった。校門の所には麗桜が転がっていた。2人共容赦なくやられたらしいことが見て分かる。

『優子…』

『樹…』

『お前、何も自分を思ってくれる奴に手をくだしてまで行くことねぇじゃねぇか』

『お前には関係ない』

『そうかい。じゃーあたしにも関係ねーな。あたしはここでその鷹なんとかってヤローを待たせてもらうぜ』

『…は?』

『そのヤローをぶっ殺さなきゃなんねぇ理由があたしにはある。だからあたしがここでそいつを殺る』

『何言ってんだ?早く仲間を連れて帰れよ。バカか?相手はヤクザだぞ?』

『うるせーなぁ。そんなの知ってるよ』

『バカ野郎!甘く見てんじゃねぇよ!』

『甘くなんて見てねーよ。だからよ、そいつぶっ殺しちまったら一緒にそいつの死体持って逃げようぜ?』

『…は?』

 樹は間違いなく本気で言っている。このまま黙って帰ってなど、まずくれないだろう。

『どうしても分かってくれないらしいな』

『あぁ。もちろんだ』

 優子は拳を繰り出してきた。樹はすぐに構えそれをかわした。

『樹、悪いが寝ててもらおう。勝負を急がせてもらうぞ』

『こっちのセリフだ、バカ野郎』

 2人は一撃必殺を狙い合った。
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