第152話 作り上げた未来

文字数 978文字

 バァァンッ!!

 その音が響き渡ると優子の胸に穴が空き、そのまま優子は倒れ一気に血がにじみ出した。

『きゃぁぁぁぁ!!』

 旋がパニックになり叫び優子に駆け寄った。突き飛ばされて尻もちをついた樹も混乱していた。今起きたことを全く理解できていない。

 珠凛も綺夜羅も麗桜もあまりの出来事と状況に身動きができない。愛羽も愕然としていた。

 そう、死んだはずなのだ。鷹爪肖は。

『危なかったぜ、てめぇよぉ。まさか本当に鉄砲持ってやがったとはなぁ、チクショウ…へへ、優子ざまぁみろ。あたしにたてつく奴はそうなるんだよ』

 鷹爪は銃口を愛羽たちに向けたまま携帯を取り出した。

『死にたくなかったらじっとしてろよガキ共。今ここに応援を呼ぶからよ』

 すると今度は突然何かが上から鷹爪に襲いかかった。

『なっ、なんだぁ!?』

 それはずっと身を隠して様子を窺っていた戦国原だった。渡り廊下の2階から飛び降り、そのまま鷹爪の上に舞い降りた。鷹爪は突然の奇襲に見事ねじ伏せられた。

 戦国原は倒した鷹爪を踏みつけると腕をひねり上げてまず折った。

 ボキッ!

『ぎゃぁぁぁ!!』

 そして体を起こさせると、その手に拳銃を握らせたまま鷹爪の頭に向けた。

『少し予定外はありましたけど、これで全て計画通りです。鷹爪さん。人を撃ったあなたを殺してもボクは罪に問われません。死んで下さい』

『まっ、待て!助けてくれ!頼む!』

『あの世に行っても頑張って下さいね』

 鷹爪の言葉など聞かず、戦国原はニコッとして言うとそのまま引き金を引かせた。


 バァァンッ!!

 愛羽たちはその数秒の出来事に言葉1つ挟めずにいた。

 鷹爪の拳銃から発射された弾は彼女の頭の右から左へと抜けていった。弾は校舎の壁に刺さり、鷹爪の頭から血しぶきが飛んでいる。

『終わったよ。お父さん、お母さん…』

 そう言って銃を手に持つと、今度は自分の頭にそれを向けた。愛羽はやっと指が動かせた。

『駄目ぇ!メイちゃん!』

『愛羽さん、すいません。優子さん、撃たれてしまって。やっぱりあなたはボクの思った通りの人だった。ボクの作り上げた未来を、見事変えてくれちゃいました。綺夜羅さんの言った通りでした。でもやっぱりボクの見た未来は現実になりましたよ。これでボクが死んで全て終わりです。さようなら、愛羽さん』

 悪気もない様子でそこまで言い終わると戦国原は引き金を引いた。
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