エピローグ 4 その行方 時の忘れもの(4)

文字数 476文字

 4 その行方 時の忘れもの(4)


 ところが翌日、日も暮れかかる頃になって幸一から電話が入る。
 ゆかりが病院に担ぎ込まれた。
 意識不明の重体だが、幸い発見が早かったので、とりあえず命に別状はないらしい。
「それでね、よくわからないんだけどさ、偶然訪ねてきたご主人が、倒れているあいつを発見したらしいんだ」
「偶然って何よ? 一緒に暮らしてたんじゃなかったの?」
「うん、その辺もまだ、俺もよくわからないんだけどさ、とにかく、さっき警察から連絡があってね……」
 何にしても、明日からの新婚旅行は延期することにした。
 話を聞かせろと言っているので、これから由子と二人で警察に行ってくる。
 そう言ってから、
「もし明日、都合がつくならだけど、ゆかりが担ぎ込まれた病院で落ちあわないか? 警察が終わったら、またそっちに連絡入れるからさ」
 だから、詳しい話は、病院で……。
 幸一はそう声にした後、呟くようにひと言告げてから電話を切った。
 ――しかし、参ったね。
 そんな呟きを耳にして、美津子は密かに思うのだった。
 ――直美のお母さんといい、いったいどうしちゃったのよ!?
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