施錠された公民館の前で
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さて、その日の練習は、それまでとはうって変わって調子よく終わりました。
大人たちが上機嫌の町内会長と帰った後、施錠された公民館の前で僕がそれとなく探したあなたは、いつの間にかいなくなっていましたね。
僕は答えませんでした。胸はドキリと鳴りましたが、僕の気持ちを教えてやる義理などありません。
降りしきる雨の中を帰ろうとすると、豹真は僕の手から傘をもぎ取りました。
相手にしないつもりが、つい怒鳴ってしまいました。豹真はあのいやらしい笑いを浮かべて、傘を返しました。
それを差して帰るのが何だか癪に触って、僕はその場から動きませんでした。豹真はというと、自分の傘を差して行ってしまいました。
少し距離が開いたところで、その背中が唐突な一言を告げました。
ドキッとした僕はずぶ濡れのまま、豹真に追いすがりました。いきなりそんなことを言われて、すっかり慌ててしまったのです。
何日も経っていないのに、そんな気持ちなんか起こるわけがありませんよね?
傘を開くのもそこそこに告げた僕に、豹真は面倒臭そうな顔で振り向きました。