言霊使いの掟
文字数 543文字
これまで父に聞かされてきたことによれば、私闘が知られれば、他の言霊使いたちが大挙してやってくるのだそうです。そうなれば、どれだけ弁解しようが抵抗しようが許されることも逃げ切れることもなく、言葉と自然とのつながりを断たれてしまうといいます。
それまで他の言霊使いと関わったことがなかったので気にもしませんでしたが、いざ自分が当事者になってみると、豹真と闘ったときとは別の寒気がしました。
しかし、父の語気はそこで緩みました。
父は重々しい口調で答えましたが、それは初耳でした。
父は一瞬口ごもりましたが、答えてはくれました。
でも、それっきり、父が豹真との闘いについて触れることはありませんでした。
ここまでお読みになれば、その翌日のことに納得がいくかと思います。理子さんがまともに豹真と関わったのは、あの日だけですから。