豹真との決着
文字数 538文字
夜が明ければ、新学期前の出校日です。朝いちばんで編入辞退を届け出て、町を出て行かなければなりません。
ちょいちょいと差し招くと、豹真があの不機嫌な態度まるだしで歩み寄ってきました。
余りに唐突なことなので、さっぱり訳が分かりませんでした。近所の人に聞かれたくないので、小声で問い返さなくてはなりませんでした。
実際に、僕や理子さんの衣装は燃え上がる寸前でした。これが西部劇みたいな拳銃の決闘だったら、誰が見たって僕の負けです。でも、豹真は妙なところにこだわりました。
雷は避雷針に逸れてしまったのです。豹真に勝ったとは言えません。それでも、豹真は自分の勝ちを主張するほど図々しくはありませんでした。
大きなお節介をそう言い残すなり、豹真は走り去って、それっきりです。僕は次の朝、父と共に四十万町を去りました。