火炎使いの不敵な笑い

文字数 287文字

あのまま行けば、町内会の皆さんの時間を食いつぶし、刀根理子にはバカにされ、役場に来る人の前で午前中いっぱい、いい晒しものだったぜ。
(そんなの……言い訳だ。)

 口元を歪めながら、ここまでしゃあしゃあと言い抜ける豹真を追及するだけ無駄です。

 だから僕は、努めて冷静に言いました。

来年は君がお世話になるかもしれない人たちだってこと、忘れないようにね。
来年も、この調子で切りぬけてやるさ。
 毎年交代なのですから、いかに小柄とはいえ、お鉢が回ってくる可能性は充分あるのです。豹真は僕を置いて駐車場を駆けて行きましたが、この皮肉は通じたのか、通じなかったのか、それは今でも分かりません。

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登場人物紹介

檜皮和洋(ひわだ かずひろ)

 父と共に不思議な力を秘めて流浪する少年。頭はそこそこ切れるが引っ込み思案で、自分も他の人も傷つけるまいという思いから、常に重大な決断を回避しようとする癖がある。

 しかし、追い詰められて発する力は地球の大気をも震撼させる。

樫井豹真(かしい ひょうま)

 超自然の力と屈折した思いを秘めた、小柄ではあるが危険な少年。冷酷非道に見えるが、それは自分の力への誇りと、同じ力を持つ者たちへの熱い思いによる。

刀根理子(とね りこ)

 冷淡な言葉の裏に、激しい上昇志向を秘めた少女。自分には厳しいが他人にも厳しく、たとえ年長者でも、直面する問題から逃げることを許さない。物静かだが、時機を捉えれば、やるべきことをやり遂げる。

 ただし、最小限の手間で……。

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