祝詞の始まり
文字数 520文字
言葉に詰まったところで、公民館の鍵を開けにきた町内会長さんに救われました
ものも言わず、ただ真っ赤になった理子さんを追いかけるようにして、僕も公民館に駆け込みました。
豹真は大人たちが集まった後に、横笛の音源CDを持ってやって来ました。
でも、僕を見ても、ろくに目を合わせもしませんでした。
祝詞の練習は、最初だけ飛ばされました。当日まで1週間を切っていたからですが、僕は気に病むことはなく、むしろせいせいしていました。
本来、数日で終わることになっていた練習です。祝詞の量も大したことはありません。
雷を呼ぶ、古代の「蛇」に関係した言葉さえなければ、どれだけ正確な発音や抑揚を求められようとも、どうにでもなるのです。