豹真の挑発
文字数 496文字
うすぼんやりと晴れた空の下で、僕たちは乾いた砂を踏みしめ、向かいあって立ちました。
場所的にも雰囲気的にも、昼食は遅くなりそうでした。
とりあえず謝っておくことにしましたが、豹真の怒りのポイントは、そこではなかったのです。
どうやら、僕が祝詞を上げなかったことを言っているようでした。
この力を人に知られたら、また引っ越さなければいけません。まるで趣味であるかのように。
父は転職三日目で、辞表を出さなくてはなりません。根性なしの新入社員でもないのに。
しかし、豹真にとってそんなことは知ったことではありません。
彼は、僕に言霊使いのプライドがないと思っているのです。
……因みに、この手紙を書いている時点でその父はまだ、僕の目の前で寝息を立てています。
確かにこんな人ですが、豹真にどうこう言われる筋合いはありません。
ムッときたのを、冗談で流しました。