辛い思い出

文字数 262文字

和洋、今、何時?
ああ、ちょうど2時。
きゃああああ!
 ……分かりますよね、何があったか。
ちょっと、檜皮君! 集合時間だよ!
ええっ? 今、何時?
うわああああ!

 つまり、「いまナンジ?」と聞いたり、「ちょうどニジ!」と答えたりした途端に、空はにわかにかき曇り、稲妻が轟音と共に降ってくるということです。

 だから僕は、絶対に時計を手放せませんし、時計のないところでは時間を聞くのを我慢しなくてはなりません。 

 豹真の使う「ほむら」は、普段使う言葉ではありませんが、僕の「なんじ」はどちらかというと警戒を要するほうだといえるでしょう。

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登場人物紹介

檜皮和洋(ひわだ かずひろ)

 父と共に不思議な力を秘めて流浪する少年。頭はそこそこ切れるが引っ込み思案で、自分も他の人も傷つけるまいという思いから、常に重大な決断を回避しようとする癖がある。

 しかし、追い詰められて発する力は地球の大気をも震撼させる。

樫井豹真(かしい ひょうま)

 超自然の力と屈折した思いを秘めた、小柄ではあるが危険な少年。冷酷非道に見えるが、それは自分の力への誇りと、同じ力を持つ者たちへの熱い思いによる。

刀根理子(とね りこ)

 冷淡な言葉の裏に、激しい上昇志向を秘めた少女。自分には厳しいが他人にも厳しく、たとえ年長者でも、直面する問題から逃げることを許さない。物静かだが、時機を捉えれば、やるべきことをやり遂げる。

 ただし、最小限の手間で……。

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