日の御子を迎える祝詞
文字数 488文字
町内会長さんにはきついことを言っていた理子さんですが、僕が大人から何度ダメ出しをされても、自分の番が来ないことに表情も変えず、ずっと同じところに立っていましたね。
お囃子のCDを流すプレイヤーのボタンを押す樫井豹真はと見れば、その指にムダな力が入り、デッキを壊すのではないかとさえ思われました。
早い話が「なんじ」と言わなければいいのですが、それは通りませんでした。「なれ」を「な」と読んでも同じことです。
とうとう、僕は休まされ、目を輝かせた樫井豹真が代役に立ちました。
ストーブの前にうずくまって見ていると、理子さんとの祝詞のかけあいが始まりました。
豹真はあなたのそばに立っても、大して背の高さは違いませんでしたが、その立ち居振る舞いは実に堂々としたものだったと思います。