豹真の誇り
文字数 460文字
断っておきますが、僕は豹真との間で起こったことを正直に書いているだけですので、どうか誤解なさらないでください。
さて、豹真は僕に向き直るなり、真顔で尋ねました。
やめるつもりはありませんでした。そんなことをすれば、あなたの冷たい軽蔑の眼差しを浴びることになります。
いや、それよりも、あの泣いているような声を聞くことになるかもしれません。そのときの僕には、それがたまらなくつらいことに思われたのです。
そのまま歩を速める豹真の、妙に素直な返事が気になりました。急いでついていくと、煩わしそうな問いが返ってきます。
はっきり言い返しました。それが言霊使いの掟です。豹真にはそれなりの誇りがあるのでしょうが、僕には僕の守るべきものがあるのです。
お互いに、闘わないわけにはいかないようでした。