理子と二人きりの道
文字数 419文字
理子さんが真っ先にやったことは、僕に詫びることでした。でも、その一言で、心は決まっていたのです。
僕は何を迷っていたのでしょう。単純な話だったのです。その結果、父と共に再び流浪の身となっても、それが普通の人間とは違う「言霊使い」の宿命だと割り切れば済むことではありませんか。
抑揚のない声で答える理子さんがどんな目で僕を見ているのかは、もう暗くて見当がつきませんでした。別の考え事ができた僕はとりあえず、家の中に戻ることにしました。
でも、答えは出ませんでした。ちょっと不機嫌な声で、理子さんに呼び止められたからです。
ついていくことにはしましたが、実際はどういうものなのでしょう。女の子とつきあったことのない僕には、いまだによく分かりません。