意外な年の差と納得のコンプレックス

文字数 396文字

……ちっ……それはなあ。
 豹真は面倒くさそうに顔をしかめましたが、思いのほか、丁寧に説明してくれました。

日御子神社は、この四十万町辺りの土地神だ。もともとは、農作物の実りをつかさどる太陽神だったらしい。

ここで練習してる春の神楽はな、その神様を山から里に迎えるものなんだ。

さっきの祝詞は男女の掛け合いになってる。10代後半の若い男女2人が、毎年、交代で任されるのさ。

……ってことは、刀根さんは中学3年生?
 失礼ですが、高校生には見えませんでした。ぎりぎり15歳ということになりますよね。
町立の氷月(ひづき)中。
じゃあ君も?
 てっきり、同い年かと思って聞いたら、物凄い形相で睨まれました。
俺は有馬高の1年。

 それなら祝詞の条件に合っています。 

 だからどうだというわけではないのですが、僕が何とも言わないうちに、不機嫌そうな答えが返ってきました。

背が低いとダメなんだとさ。
(……気にしてたんだ)
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登場人物紹介

檜皮和洋(ひわだ かずひろ)

 父と共に不思議な力を秘めて流浪する少年。頭はそこそこ切れるが引っ込み思案で、自分も他の人も傷つけるまいという思いから、常に重大な決断を回避しようとする癖がある。

 しかし、追い詰められて発する力は地球の大気をも震撼させる。

樫井豹真(かしい ひょうま)

 超自然の力と屈折した思いを秘めた、小柄ではあるが危険な少年。冷酷非道に見えるが、それは自分の力への誇りと、同じ力を持つ者たちへの熱い思いによる。

刀根理子(とね りこ)

 冷淡な言葉の裏に、激しい上昇志向を秘めた少女。自分には厳しいが他人にも厳しく、たとえ年長者でも、直面する問題から逃げることを許さない。物静かだが、時機を捉えれば、やるべきことをやり遂げる。

 ただし、最小限の手間で……。

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