彼女の静かな怒り

文字数 280文字

 あ……あの……。
……。
 何が起こったのか分からない上に赤っ恥をかかされ、おろおろしている僕。

 そのうえ、紹介されたのは、目の前で僕をじっと見ていたあなたでした。

その……。
 なぜかは、書けません。あのときの気持ちを表現できる適当な言葉が見つかりません。

 今でさえできないのですから、その場で何も言えなかったのはしかたがありません。

 そんなの言い訳、とお思いでしょうが。おそらく。

これで高校2年? 小学生の方がまだマシですね。

 冷たく言い放つあなたは、どう見ても僕より年下にしか見えなかったのですが。

 何にせよ、あなたの第一声が僕を更に追い詰めたのは確かです。

 

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登場人物紹介

檜皮和洋(ひわだ かずひろ)

 父と共に不思議な力を秘めて流浪する少年。頭はそこそこ切れるが引っ込み思案で、自分も他の人も傷つけるまいという思いから、常に重大な決断を回避しようとする癖がある。

 しかし、追い詰められて発する力は地球の大気をも震撼させる。

樫井豹真(かしい ひょうま)

 超自然の力と屈折した思いを秘めた、小柄ではあるが危険な少年。冷酷非道に見えるが、それは自分の力への誇りと、同じ力を持つ者たちへの熱い思いによる。

刀根理子(とね りこ)

 冷淡な言葉の裏に、激しい上昇志向を秘めた少女。自分には厳しいが他人にも厳しく、たとえ年長者でも、直面する問題から逃げることを許さない。物静かだが、時機を捉えれば、やるべきことをやり遂げる。

 ただし、最小限の手間で……。

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