流浪の記憶
文字数 550文字
聞こえていました。どんな噂が立ってるかぐらい、察しはついていましたし。
僕たち言霊使いは、雨を操れる人ならばその言葉を避けることができます。ただし、どうしても会話が不自然になったり、無口になったりしがちです。
こういうのが嫌な人は、敢えて「雨男」の汚名を着て、行楽シーズンなどは爪はじきに甘んずるのですが、それはまだいいほうです。
湿気を招き寄せたり、風で砂ぼこりや海の波を立てたり、僕のように雷を落としたりといった人たちは、仮に事故を起こさなくても言葉遣いや立ち居振る舞いを気味悪がられ、転居を余儀なくされるのです。