オヤジの雷
文字数 392文字
しかし、本当の問題は、その夜に起こったのです。
帰宅して夕方まで寝ていたところ、どう見ても定時に退勤したとしか思えないくらいの早い時間帯に帰った父が、「雷」を落としたのです。
父は痩せて背のひょろ高い男ですが、一旦怒ると、貧相な身体のどこから出るのかと思うような大声を出します。その勢いは、本物の雷にもひけをとりません。
僕の言霊を鍛えたときも、ずっとこんな調子で怒鳴り通しでした。
父の説教は、向かい合って正座というのが基本です。
僕はこういうとき、頭を下げるしかありません。
いちいち説明しなくても、そこはもう阿吽の呼吸で分かるのです。