カッコ悪い男たち
文字数 588文字
とうとう豹真がプレーヤーの電源を切り、アンプとの接続ケーブルを力任せに全て引き抜いたかと思うと、公民館を飛び出してしまいました。
慌てた町内会長さんが後を追います。
豹真との会話が、どんどん遠ざかっていくのが分かりました。
声を荒らげた町内会長さんに、豹真がヤケを起こしたように喚き散らすのが聞こえました。
豹真自身よりも備品の心配をする町内会長さんが、冷ややかな反撃を食らったのも無理はないと思います。
困り果てる町内会長さんに、豹真はきっぱりと言い放ちました。
堂々たる一言は、僕からすればそれまでの乱暴な振る舞いを大いに償って余りあるものでした。
そこで次に出て行ったのは、さっき僕を怒鳴りつけた人です。
いい年をして、はるか年少の者にきちんと謝ることもできないようです。
それに続いて、他の大人たちもぶつくさいいながら帰ってしまいました。
残ったのは、僕と理子さんだけでしたが、理子さんの顔色を伺うと、思いっきりそっぽを向かれて心がひしゃげました。
思わずつぶやくと、春の強い風がどっと吹いてきて、窓ガラスをガタガタ揺らしました。