人を未来へとつなぐもの
文字数 448文字
観客を巻き込んだ大惨事になれば、身体の傷だけでは済みません。この神楽を続けることはできなくなり、町内の人を過去から未来へとつなぐ絆が一つ失われるのです。
僕は祝詞を上げながら、豹真の姿を探しました。
祝詞と共に数えているうちに気持ちが落ち着き、考えもまとまりました。
僕は辺りをもう一度見渡しました。
眼を凝らすと、駐車場の向こうにある町役場の車寄せで、屋根を支える柱にもたれかかっている背の低い人影が見えます。
しかも、屋根の下ではなく、雷を落とせと言わんばかりの外側で。