炎の予兆
文字数 466文字
豹真の口元が歪んだのを見たとき、朝に起こったカセットコンロのことが思い出されました。さかのぼって、「バカはどれだけ傷ついてもいい」、そして、「使ったさ、言霊も、頭も」……。
言霊ではなく、嘲笑で返した豹真に、今度は理子さんが言葉に詰まりました。
理子さんが声を荒らげたとき、空が一瞬だけ陰りました。僕はそれに気をとられて見上げていたので、理子さんと豹真がどんな顔をしていたかは分かりません。
ただ、気を持たせるような勿体ぶった口調で、豹真がこう言うのだけは聞こえました。