眠りの姫巫女
文字数 534文字
土砂降りの中、大人たちがテントの撤収を始めたところで、背中にのしかかるものがあるのに気づきました。
ふと後ろを見やると、目を閉じたまま、もたれかかっていましたね。重くは……ありませんでしたが。
あの後、実に済まなそうな顔をした町内会長さんに促されて祭壇から降り、役場の更衣室を借りて急いで帰ることになったんですが……。
いつか理子さんの言った通りに増水した川を前に、あの父がどれほどの役に立つかは分かりませんが……。
それはともかく、僕は生返事をするしかありませんでした。
頬に付いた季節外れの小さな紅葉の跡は、その後しばらく消えなくて困りました。
本当に……疲れて眠っていたんですよね? あのときは。