理子の哀しみ
文字数 623文字
しかし、河原で樫井さんの暴言に声を荒らげたとき、私は自分の気持ちが実際に自然を動かすことを知りました。一瞬、空が陰った時の恐ろしさといったら!
自分の身体に突然火が付いたとき、私は己を失いました。
こらえればこらえるほど、怖さや怒りや情けなさや、そういったものがまぜこぜになって、あんな嵐を呼んだのです。
土砂降りの雨は、私にとっては恵みの雨でした。
思いっきり泣けるからです。
思いっきり泣けるからです。