豹真の力
文字数 491文字
実感できたことは、まだありました。
それまで何となく感じていた、豹真の性格の悪さです。
言霊使いがお互いをそれと感じ取れるのには、それなりにいいこともあります。
なぜなら、父が言うには、言霊とは違う力を持つ者たちもいるからです。
お互いにその存在は感知できないので、こうして仲間同士を見分けて固まることで棲み分けができてきたということなのですが……。
どうやら豹真にとって、僕は仲間というよりも、対等の喧嘩相手のようでした。
自分が言霊使いであることを確かめるための。
豹真の口が、小さく動いていました。耳を澄ますと、微かな声が聞こえてきます。
言霊を動かすための祭文でした。
肌で感じたものに、ふと身体を見渡せば、うっすらと煙が立っています。