理子の謝罪
文字数 361文字
訳が分からず、今度は僕が沈黙を決め込んでしまいました。
父はというと、そのまま横になり、背中を向けてごろりと転がります。
そう言いながら、父はそこから動きもしません。
勝手に決めつけて、僕は散歩に出ることにしました。外はそろそろ暗くなっている頃でしたが、一人で考えるにはおあつらえ向きだったのです。
しかし、そこでも予想外のことが起こりました。
そう、理子さんが玄関先に立っていたのです。
薄暗がりの中、冷たい春の風が、むやみやたらと頭を下げることなく僕をまっすぐ見つめる理子さんの髪を、微かに揺らしていました。