流れる歌声と、川の流れと

文字数 281文字

……。
(……なんか、まずいこと言ったかな)
 しばらくの沈黙が重かったのを覚えています。
……関係ないんじゃないですか。
 そうつぶやいたうえで、理子さんはこう答えてくれました。
この川は、雪解けで水が増えても、こんなものです。でも、もともとはもっと水量が多くて、この河原一帯に流れていたらしいですね。今でも、大雨が降ると、河原は水に浸かります。
 不愉快そうな口調が、そのときはたいへん不思議に感じられました。
(……何か、僕のせいみたいな)

 しかし、川の増水をイメージしたとき、思い浮かんだ洋楽の曲がありました。自然に口を突いて流れ出したのは、英語の歌詞です。

♪~……。
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登場人物紹介

檜皮和洋(ひわだ かずひろ)

 父と共に不思議な力を秘めて流浪する少年。頭はそこそこ切れるが引っ込み思案で、自分も他の人も傷つけるまいという思いから、常に重大な決断を回避しようとする癖がある。

 しかし、追い詰められて発する力は地球の大気をも震撼させる。

樫井豹真(かしい ひょうま)

 超自然の力と屈折した思いを秘めた、小柄ではあるが危険な少年。冷酷非道に見えるが、それは自分の力への誇りと、同じ力を持つ者たちへの熱い思いによる。

刀根理子(とね りこ)

 冷淡な言葉の裏に、激しい上昇志向を秘めた少女。自分には厳しいが他人にも厳しく、たとえ年長者でも、直面する問題から逃げることを許さない。物静かだが、時機を捉えれば、やるべきことをやり遂げる。

 ただし、最小限の手間で……。

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