気まずい挨拶
文字数 390文字
その雨は、午後から次の日まで続きました。
僕は朝早く起きてジャージに着替え、朝食もそこそこに公民館へ向かいましたが、着いたときには大人たちはまだ来ていませんでした。
ただ、そこにいたのは……。
あなたの姿を見て、何だかほっとしました。しかし、前日にあんなことがあったので、「おはよう」の一言がなかなか出せません。傘を差して、黙ったまま突っ立っているしかありませんでした。
そう言われて、僕はしばし考えました。謝られる心当たりがなかったのです。「おはよう」って言ってほしかっただけなんですけどね、本当は。
(……河原に呼び出されたのは……僕のせいだし)
(……練習を邪魔したのは……豹真だし)
(……事情は……知られたらまた、引っ越しだな。最短記録。)
(……大雨は……天災だよね)
(……理子さんが雨乞い? まさかね)