オッサンたちと怪しい祝詞

文字数 240文字

 夜が明けて、迎えに来た町内会長に招かれるまま、僕が黒のジャージ姿でにたどり着いたのは、地元の大人たちが待つ小さな公民館でした。

 そう、あなたと出会った「日御子(ひのみこ)神楽」の稽古場です。

 見知らぬ大人たちの前に立たされて、戸惑う僕でしたが、そんなことにはお構いなく手渡されたのは、あの一枚のメモでした。

これ、読んどくれんかな?
は……はあ。

 大きなアンプがある割には石油ストーブのガンガンに焚かれた部屋の畳に上がるなり、僕は神楽の祝詞を読まされる羽目になったのでした。

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登場人物紹介

檜皮和洋(ひわだ かずひろ)

 父と共に不思議な力を秘めて流浪する少年。頭はそこそこ切れるが引っ込み思案で、自分も他の人も傷つけるまいという思いから、常に重大な決断を回避しようとする癖がある。

 しかし、追い詰められて発する力は地球の大気をも震撼させる。

樫井豹真(かしい ひょうま)

 超自然の力と屈折した思いを秘めた、小柄ではあるが危険な少年。冷酷非道に見えるが、それは自分の力への誇りと、同じ力を持つ者たちへの熱い思いによる。

刀根理子(とね りこ)

 冷淡な言葉の裏に、激しい上昇志向を秘めた少女。自分には厳しいが他人にも厳しく、たとえ年長者でも、直面する問題から逃げることを許さない。物静かだが、時機を捉えれば、やるべきことをやり遂げる。

 ただし、最小限の手間で……。

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