何か気まずい春の朝
文字数 405文字
翌朝、公民館に向かう道のあちこちで植えられた樹の枝を見て気付きました。
気が軽くなって自然と走り出したおかげで、早く着きすぎてしまったことといったら!
それほど肌寒くもなくなった朝の空気の中で一人ぼっちでいると、そこへいつものトレパンにヤッケ姿の理子さんがやってきました。
理子さんは背中を向けて、僕のほうを見ようともしませんでした。
僕も春の色に染まりかかっている朝の空を見上げていましたが、町内会長さんは、なかなかやってきません。僕たちは、無言のまま二人で並んで立つ羽目になりました。
そのとき、何か微かに聞こえてきたものがありました。