少女の静かな怒り
文字数 506文字
本当に、ひとこと多いのには泣きたくなりました。
黙っていたのを、代わりに町内会長さんがなだめてくれましたよね。
全然フォローになってなかったのですが、僕は素直に感謝しました。心の中で。
しかし、理子さんはきれいに一礼すると、僕をちらっと眺めるなり、標準語で大人相手にきっぱり言ったものです。
朝早くから、お店やなんかお忙しいのに、ありがとうございます。でも、私の場合は頼まれたのではありませんし、自分で名乗り出たわけでもありません。あくまでも母が申し入れたことです。行事ではありますし、母の立ってのお願いでもありますので、お役目は果たします。でも、それならそれなりのことをしたいと思っておりますので、宜しくお願いします。
だいたい、こんな感じだったかと思います。
中学3年生とは思えないほど流暢で、理路整然とした口上でした。
僕は毅然とした態度の理子さんを呆然と見てましたし、大人たちも返す言葉がなかったのか、唖然としていました。