ささやかな謎解き
文字数 446文字
「事務の方もシャレの分かる人だったようです。
学校紹介パンフレットにラブレターを仕込んでくれなどという頼みをこっそり聞いてくれたのは、理子さんが旧家の娘で高校の理事の娘だったからでしょう」
少女の手紙を仕込まれた場所に戻す前に、少年にはどうしても書かなくてはならないことがあった。
再び、便箋の上をペンが走る。
「さて、手紙を読んで目を疑ったのは、僕たちとは別の力を持つ人たちが、わずか数日とはいえ、すぐ身近にいたということ。
お母様が厳しい方なのも無理はないと思います。素質を見出せばこそ、事故や間違いが起こらないよう大切になさっているのでしょう。どうぞお母さまと仲良くなさってください」
ペンを鼻と上唇の間に挟んで考え込む。
そこでやめておけばいいものを、最後に綴られたのは年長者ぶった説教だった。
「今年は受験の年です。大きなことが言える立場ではありませんが、理子さんの願いが叶うことを、同じ空の下で祈っております。 敬具」