冷たい彼女の人生設計

文字数 345文字

来年は有馬に来るんじゃない?
 豹真は急に背中を向けて言いました。
刀根の親父は勿来高校の理事だぞ、どうでもいいが。

 そう言うしかありませんでした。本当にどうでもいいことだったのです。

 続く言葉に比べれば。

くれぐれも言っとくが俺たちの力は、隠すことなんかない。見るに堪えないから止めてやったけど、次はやれよ。

(次は……って、どっち?)

(祝詞読めってこと?)

(僕の力使えってこと?)

 さらに、公民館の戸に手を掛けながら付け加えたのは、これです。
こないだ入学案内持ってたぞ……県庁所在地の進学校だった。
(あ……噂をすれば)
……。
 そこで入れ替わりに理子さんがやってきたので僕たちの会話は途切れましたが、あの後に祝詞の掛け合いをやってみたんでしたね。

 もちろん、さんざんだったと思っています。

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登場人物紹介

檜皮和洋(ひわだ かずひろ)

 父と共に不思議な力を秘めて流浪する少年。頭はそこそこ切れるが引っ込み思案で、自分も他の人も傷つけるまいという思いから、常に重大な決断を回避しようとする癖がある。

 しかし、追い詰められて発する力は地球の大気をも震撼させる。

樫井豹真(かしい ひょうま)

 超自然の力と屈折した思いを秘めた、小柄ではあるが危険な少年。冷酷非道に見えるが、それは自分の力への誇りと、同じ力を持つ者たちへの熱い思いによる。

刀根理子(とね りこ)

 冷淡な言葉の裏に、激しい上昇志向を秘めた少女。自分には厳しいが他人にも厳しく、たとえ年長者でも、直面する問題から逃げることを許さない。物静かだが、時機を捉えれば、やるべきことをやり遂げる。

 ただし、最小限の手間で……。

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