一触即発
文字数 454文字
しかし、僕を心配してくれた理子さんに、「邪魔だから帰れ」とはとても言えませんでした。僕は、押し黙ったまま、棒立ちになっていたのです。
僕に代わって口を開いた理子さんに、豹真は目を剥きました。
舌鋒鋭く責め立てる理子さんを前に、豹真は大岩の上に立ちあがりました。それはまるで、低い身長を補おうとでもするかのように見えました。
理子さんには分かるはずもありませんでしたが、その朝の爆発事件に限っていえば、豹真は図星を突かれた形になります。物言いは偉そうでしたが、声は震えていました。
さらに、僕の身体には、既にあの悪寒が這いこんでいましが、理子さんを止める術はありませんでした。