狂気の炎
文字数 468文字
肌に熱いものが感じられて、ふと身体を見渡せば、うっすらと煙が立っています。
祭文の意味と豹真の力は、そこで分かりました。
何もないところに火を起こす。
たぶん、そのキーワードは「ほむら」……。
そうなると、自分の身体に火が点きかかっていることの恐怖よりも、またそうしている豹真への怒りよりも、むしろ同情や憐れみのほうが強く感じられました。
しかし、そんなものは豹真に伝わるわけがありません。
きな臭い煙中で僕が叫んだのは、それが僕たちの掟だからです。互いに傷つけあって、共倒れにならないための。
軽く笑い飛ばす豹真にはぞっとしましたが、聞かずにはいられませんでした。