先を越された決闘状
文字数 413文字
その夜のことです。
残業を済ませて帰ってきた父が渡した封筒の中には、裏の白い新聞広告を切って作ったらしいメモが入っていて、こう書いてありました。
神楽が終わるまで、僕はここを離れるわけにはいきません。決闘を申し込んだら、あの豹真のことです。僕の事情なんか気にするわけがありません。
それなら言霊を使えない臆病者と思わせておいたほうが、まだマシです。決闘は、神楽が終わってから申し込むつもりでした。
父は封筒について何も聞かず、黙って正座しました。僕も父の前に座りました。
メモは、膝の前に伏せておきました。
言霊使いとして初めての決闘に身の引き締まる思いがして、言葉遣いも改まりました。
僕に決めさせる以上、聞く必要もないのでしょう。
すると、正座したのはなぜか?
その答えは、父の質問にありました。