最小限のトラブル回避
文字数 505文字
雷を起こすまいとすれば、どうしても「なんじ」はまともに発音できません。最も影響の小さい形で読み上げなければならないので、ダメ出しは避けられないのです。
前の日と同じところでつっかえることで、理子さんも大人たちも相当イラついているのは分かりました。
練習を滞らせているのは申し訳ないので、僕も対策を考えました。
なんとかごまかせないかと、「汝」を、同じ2人称の「ぬし」に置き換えてみましたが、それは認められませんでした。
特にこだわったのは、理子さん、あなたでしたね。
別に責めているのではありません。叱られても当然のことです。
はじめて名前で呼んでもらえて、なんだかくすぐったい気持ちがしましたが、理子さんの言葉は辛辣で、心が折れました。正直。