67話:海に浮かぶクロスピア!ルディース奪還大作戦!!(エバス編)
文字数 5,119文字
【前回のあらすじ】
浸水して傾いているクロスピアに居るルディースを助けるべく、チーム「カインドフォース」の
エンディア達は無事に侵入開始して1階にある王座の間に辿り着くけれど
匿われている部屋が指紋認証システムが搭載されている部屋と言う事に気付き八方塞がり…。
ただ、グレイスだけは違った…。
彼の指示に従った結果、2階のコントロールルームで無事に彼を見つける事が出来た。
そんな中、エバスもビアンラボに出向き
ミフィールを連れてクロスピアへと一歩一歩近付いてきて
遂に目の前にある北西の海に辿り着いてしまった…
さあ、着きましたよ。
北西の海に設定した私が愚かでした…
思うより浸水が速いですね…。ビアンラボにぶつけて消滅するエディール様の
突拍子のない意見より海に沈めて全ての証拠と共に
隠滅する予定だったのに…、美しくありませんね。
父さん、ここはディープシャークの溜まり場よ…。
そんな事も知らないでここに設定したの?
多分住処を荒らされると思って攻撃している筈だわ。
こう見えてクロスウッドの海を侮っちゃいけないんだから…!
そうか。長話している暇はないぞ…
まだ屋上は浸水してないから、そこから3階に行く。
ミフィール、肩の力を抜いてくれ。
私の浮遊さえあれば、どんな所でも楽に行ける…。準備はいいか?
現在、クロスピアは浸水が進行している為、いつ沈没しても可笑しくない状況に陥っている。
極め付けにルディースはレイディア家の次男…。
丁重に扱わないとエディールに反感を買う事になり、闇に落とされてしまう。
エバスはミフィールに浮遊の力を纏わせ、彼女と共に安全地帯と判断した屋上へと向かい始める…
****
傾いているクロスピア、屋上――。
スーッ と降り立ち、まずは一息吐いて落ち着かせる。
ふぅー。以前ブリジスさんの星に乗せて貰った事あったけれど
それと同様に不思議な気分だわ。この壊れ掛けた扉から行くのかしら?
そうですよ…。何分かり切った事言ってるんですか?
事態は最悪なんです。急ぎますよ…!
****
コントロールルーム――。
3階の指紋認証システム搭載の部屋…ではなく、
この部屋で助けに来てくれるのを待っていたルディース。
咄嗟の判断とは言えども、グレイスの機転が彼を救う事になった為
エンディアとハディーサは笑顔で素直に褒めていた。
グレイス、やるじゃん…!
やっぱりお前を連れて来て正解だったぜ…。
そうだな。俺からもお礼を言わせてくれ!
ルディースを助け出したのはグレイスだ。お前だってやるじゃん!
臆病者なんかじゃない…。俺が証明してやるぜ!!
ありがとうございます!
こんなに褒められたのは初めてです…。
改めて…、助けてくれてありがとうございます。
それにしても良く私が此処に居るのが分かりましたね…。
グレイスさん…でしたよね? もし良かったら貴方の推理聞かせてくれませんか!?
簡単な事ですよ…。
クロスピアが浸水した時、まず最初に破損するのは地下1階にあるエンジン室です。
先程レサリアさんにその上に執務室、更に電気制御室がある事をお聞きしました…
それに何もしていないのに電気が先程パッと消えた…。そこで判断したんです…。
もしかしたら、エンジン室が爆破した際
天井に穴が開き、電気制御室まで影響が出ていて
指紋認証のシステムがダウンした為、脱出出来たんじゃないかなと…。どうですか?
…………!!
お見事です。浸水した際に色々な機能がダウンしたので
その隙を付いてこのコントロールルームに来たんですけれど
無理に触ると沈没し兼ねないので
誰かが助けに来てくれるのを待っていた所、君達に出会えました…。
俺の知らない世界だけど
要するにスゲぇと言って置けばいいようだな…!
お陰様でルディースにも会えたんだ。グレイスには感謝し切れねえなあ…
さすが、俺の仲間だ!!!
本当に感謝致します。
それとレサリアさんも久し振りに会えて嬉しいです…!
ルディースさん…、憎んでいないんですか?
エバス様の指示であの部屋に閉じ込めたのは私です…
嫌がっていたのに、表情1つ変えずに抵抗さえしなかった…。
何故そこまで出来るんですか?
決まっているじゃないですか…!
エディールとレイディアと同じ雰囲気がエバスさんからも出ていました。
私は例え悪に染まった方でも、同じ人間なんです…平等に接したいんですよ…。
親身になって受け答えするのが礼儀ですから。
その為だったら監禁されるのも苦ではありません
心配していたんですよ…。
でも、レサリアさんが無事で良かった…。全く憎んでなんかいません。
あの時小声で「必ず助ける!」って言ってくれたじゃないですか。
こうやって皆で助けに来てくれたのが事実です…。良い仲間を持ちましたね。
お取り込み中悪いんですけど、沈没まで残り45分なんだ…。
よう、ルディース。3階の部屋のロックが解除されていたから
何処にいるかと思ったら、やはりここにいましたね…。ミフィールは必要無かったか…
エバスのスキル「浮遊」により
屋上に辿り着いたミフィールを連れて館内に潜入し
3階へ行くと既にルディースが匿われていた部屋が開放されていた事に気付き2階へと降りると
その時点でもう浸水が進行して、知らない間にもう半分以上が傾いている事が判明する。
このままだといつ海底に沈没しても可笑しくない状況…。
さすがのエバスも切羽詰まった状態でコントロールルームへと急いで今に至る。
さてと…、もうすぐクロスピアが沈没する。
さっさと用事を済ませる。ルディース、エディール様が呼んでいます…。
一緒にヒルハイドタワーへ行くんだ。逆らったらどうなるか分かっていますよね…
イヤです…。彼等は間違ったことをしている…
私はそれを正したいんです。エバスさんだって間違っています!
こんな危険な場所にミフィールさんを連れて来る。間違っていませんか?
何で姉の言う事を親身になって受け取らないんですか? 同じ家族ですよね…!!
う、うるさい…服従させてこその娘だ…! それの何処が悪いんだ?
心を鬼にして家族に接して来た。ついさっきもビアンラボで…
もう後には戻れない…。支配するのが好きな私からしたら
家族を巻き込むことなど造作も…
(こいつ言わせて置けば…!
ただクロスピアは沈没寸前。どうすればいいんだ…!?)
(何だと…、頭狂ってやがる…!
でも成す術がない。このまま沈没して俺等も終わりなのか!?)
家族と親身になって受け答える。ルディースの言葉が響いた姉ミフィールは
笑顔で1歩1歩と父親であるエバスの元に歩み寄る…。
家族と触れ合う事がどんなに大切か?
ずっと悪に染まっていたから避けていた…。
もしかしたら何処かで助けを求めていたのかな?
ミフィールは父親を優しく抱き締め、ずっと胸に募っていた想いを吐き出すかのように暴露し始める。
お父さんっ…、もう苦しまなくて良いんだよ…!もう今日で悪の道はおしまい。
だって私の愛する父さんは誰よりも輝いているんだからっ!!
…………!!
ミフィール…、止めてくれ。そんな事されたら、お前の事が…
いつの間にか姉の気持ちも忘れるまでに達していたんですね…
こんな父親で済まないな。許してくれないか?
もちろんよ…。さてとまずは
ミントの元に戻らないとね。まずは謝る事から…
いや、それは出来ない…。
悪いけど、これから私がやる事を許してくれ…!
ミフィール、ルディース…そしてエンディア達…。浮かべ!!
クロスウッドの海を侮ってはいけない…と言ったミフィールの発言。
これは北西の海を縄張りとしているディープシャークはもちろん、満潮干潮の時間帯が予測付かない事。
それに関してはビアンラボの職員、グライド研究所のスタッフでも全くデータが取れない程。
かつて渦潮が原因で走行していた定期船が沈没した事もある…
海上生物による攻撃による事故多発…
そして今もクロスピアが残り5分で沈没する事はもちろんエバスも知っている。
それを知った上で、彼は皆を助ける為、姉とルディース、そしてエンディア達を浮かせた。
ルディースは無事に助けた。
エディールに目を付けられる事はないと思うけど
悪の道を抜けると彼から制裁が下される。
だからここでクロスピアと運命を共に過ごす事に決めた…
これしか方法がないんだ…。
え、エバスさんっ…、一緒に帰りましょうよ!!
こんな終わり方でいいの!?
良いんだ。エンディア、ハディーサ、ユリシール、システィア…
そしてレサリア、グレイス…。最後にルディース…。
私の大好きなミフィールを頼みましたよ!!
笑顔で皆に別れを告げて、沈没していくクロスピアのコントロールルームにある窓から
大量の海水が流れ込んで行く。息継ぎは出来ないし、特にエバスは泳ぎがそこまで得意ではない。
それと同時に大量の海水を飲み込んでしまい、彼は徐々に海底へと沈んで行ってしまう…
(く、苦しい…。グホッ…、やべ、また海水飲んじゃった…。でも…これで…)
自決する事でエディールの元から離れる事が出来たエバスの服装が
悪に陥る前に来ていた物に戻る。闇の力が完全に消え去り、彼の目からは少量の涙が零れだす…
(これで…良いんだ。あの時の服装か…
やはりこれが一番落ち着くな。この姿で死ねるなら本望かもな…)
お願いします…!
まだ父さんは生きてます!
どなたか助けてくれませんか…!?
クソッ…、あんな形で終わらせる訳に行かないだろ!?
俺が行く。ミフィール、待ってろ!!
必ず助け出す!!!!
何だ、レサリア!!
止めるな。お前だって分かってるだろ…!
あそこ…、見て貰えますか!?
泡が立ってると言う事は何か海底から来ます!!
もしかしたら…。ん? ルディースさん、何やってるんですか!?
エバスさんを発見…、まだ息をしています。これから引き上げます…!!
いや、違いますよ…。
訳は後で話します。さあ、とりあえず浜辺に着陸しましょう。
ほら、エバスさんが戻って来ましたよ…。
****
何とかクロスピアと共に沈没して行ったエバスは、
見知らぬ力を発揮したルディースのお陰で何とか助ける事に成功する。
エンディアは心臓呼吸をして彼が飲んでしまった水を全部吐き出す事に成功し、
何とか一命を取り留める…。ちょっと微弱表情をしているけど、助けて貰った事に感謝をしている。
やったー。エバスさんが戻って来た!
ルディースさん、色々とありがとうございます。
はい…! エバスさんは自分自身で悪の道を辞めたんです。
私はその期待を裏切りたくありません。エディールが誰よりも笑顔が好きだったように
もっと親子揃って笑っていて欲しいんですよ…。だって…
笑顔って人の幸せを豊かにさせる力があるんですよ…!
ふぅ…。本当に皆さんには感謝し切れないですね…。
私はずっと家族の在り方を間違っていました。ミフィールに教えられた気がします…
これが本来の私で、自宅ではこのような和装を嗜んでいます。
闇の力が完全に消え去った事で、この姿に戻る事に出来ました。
ミフィール、ビアンラボにいる女性達を自宅にご招待しましょう…。
そうだ。歓迎パーティーを開きませんか?
私を助けてくれたルディースさんの力も気になるので
皆さん揃って是非来て下さい…。私の方で色々準備して置きます。
私の大好きな父さんが帰って来たっ! これでミントも喜ぶわ。
でもクロスウッドは何処にいても危険よ…。
また襲われる可能性もあるから…
そうですね…。
エンディアさん、ハディーサさんをお借りしても良いですか?
彼等は心強くて逞しいです! それと自宅に帰れさえすれば用心棒はいます。
それまで私のサポート宜しくお願いします。
良いねえ。護衛、そしてパーティーにも招待してくれるなんて懐が深いぜ…
序(ついで)に温泉的な物があると凄く嬉しいなあ。
もちろん。温泉もトレーニングルームもあります…。
それと庭にはテニスコートや、プールとかも備わっていますよ。
グレイスさん、話はネシアから聞かさせて貰いました。では改めて…
ようこそ、ルティバード家へ。
ネシア、ティアラ、ティム、ミフィール、ミントの5人の父親を受け持っているのが
私一家の主であるエバスです。四姉妹を持つのは大変ですけどね…。
ティムとティアラの面倒はネシアに任せているので少しは楽になっています…!
先日は申し訳ない事をしたな…、謝らないと。
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