64話:クロスピア帰還!動き出すエバスとカインドフォース!!
文字数 4,856文字
クロスが皇帝、暗躍組織『アンドルディシア』の魔の手により磔にされ捕虜…
その中、無事に古城を脱出したシルヴィンとインバは郊外まで来たけれど
一本道の先が通行止めになっていて足止めを喰らっていた。
古城にて――。
皇帝、レイディアと話をしている最中に突如として立てかけてあったシャウトシグマが光り始める。
それは光となって消滅した筈のクロスピアが再びこの地に現れるサイン。
そこにはレイディア一家の次男、ルディースが…。
ルディースを巡り、エバス…。そしてチーム「カインドフォース」が立ち上がる。
****
ここはヒルハイドタワー1階。
スティードはここにいずれ訪れるビアンラボの精鋭部隊の到着を
捕らえられていたオルームとリオルドと一緒に待っていた。
彼は元クロスピアの所長…。
研究者としての才能を認めたドルシード(父親)が皇帝がいる小町『エジェテール』の
古城に連れて行く所から彼の凄絶な人生は始まっていた…。
ただ、今彼が発した発言を気に食わなかったスティードは
背後で秘密裏にスキル発動で出した鎖の塊を頬に投げ付け痣を付けてしまう。
ポケットに常に常備している絆創膏を頬に貼ろうとする。
いつ何時でも攻撃できるように右手にも同じ技を発動…。
笑っている顔が大嫌いなスティードはそれが出来ないように
左目に投げ付ける。何とか出血は阻止出来たけど、大きな痣だけ残り痛々しい顔をしていた。
オルーム…、殲滅の支度をしろ!! 断割のスキルが無くても可能だろ?
お前は暗殺者になる為に生まれてきたんだ…。
大好きなリオルドを殺したらミッション終了だ。
ずっと研究没頭していた為、父親として息子ときちんと接する事が出来なかった。
ましてや、エディールの元で働いていた事なんか絶対に言えない…
2人を連れて出掛けたのもほんの数回。
笑ったり、たまには叱ったりした事もした。どの行為もきちんと成長して欲しい彼なりの愛情。
しかし今日でリオルドの愛情もおしまい…
家族のように接していたオルームが不意に見せた闇の表情。
少しでも怠っていたのかな? と後悔している。
無情にも鋭い目付きのオルームの拳が振りかかろうとしていた…
やはりリオルドの事を常に思っている為、心の何処かに"善"の気持ちが残っている。
やりたくないのに、勝手に手が出てしまう…。
オルームは小町「エジェテール」を襲った過去がある為
その罪は絶対に消える事は無く、いくらスキル「断割』を解除して完璧に善に戻ったとしても
悪事を働いたという事実が剥がれる事は決してない。
※小町『エジェテール』を襲ったのは本人の為、シルディートの変装スキルの仕業ではありません。
その時、ガチャンッと窓ガラスが大量に割れ、床に散らばる音が聞こえると同時に
ようやくビアンラボの精鋭部隊がヒルハイドタワーに到着した…。
ビアンラボに潜入してエディールに横流ししていた事、絶対に許さないからな。
リオルド、もう大丈夫だ。アルバート、オルームはまだ闇に墜ちてない。
救うなら今のうちだ!!
さっきまで周りに漂っていたオーラは完全に消えて
何とかオルームは正常な姿を取り戻す事に成功した。
おう!!!!
ここはシャウトシグマの力によって消滅した筈のクロスピア――。
誰も居ない3階、シャウトシグマが閉まってあった倉庫の横にある部屋…
何とかして扉の留め具を外そうと何日間も掛けて無理矢理タックルする。そして無事に脱出。
彼の名前はルディース。レイディア一家の次男。
悪に墜ちた2人を助けようとした時、エバスに
目を付けられてしまい、クロスピアに監禁されてしまった。
【ルディース】
ようやく脱出出来ました…。確かクロスピアの館内でしたね。シャウトシグマの力によって消滅したと思いましたけど
まだこのように飛んでいると言う事は…、まだ希望があります。
とりあえず操縦室へと向かいましょう。
その時館内にウィーン ウィーンと不協和音を募らせるような
サイレンが突如として鳴り響く。ただ表情1つ変えることなく
彼は一目散に急ぐ様子もなく操縦室へと向かい始める。
****
クロスピア、操縦室――。
とりあえず光っているボタンを押せば何とかなると思ったのか、試しに押してみると
今度はサイレンではなく、館内アナウンスが鳴り始めて
さすがに冷静で居られなく少し慌てている…
オールシステムダウン。
シャウトシグマの力が解除されました…。
これから光層空間を抜け、クロスピア…北西の海に墜落します。
クロスピアは消滅などして居なかった。剣が生み出す"光層空間"という場所に飛ばしていただけの事。
ただ、興味本位で押した"光っていたボタン"。
それこそその空間を解除する為の装置の1部。
周りに設置されているモノのシステムが徐々に止まり出し、クロスピアもダウン。と言う事は…
墜落のカウントダウンがもう始まっていた。
まもなく光層空間を抜けます。
光層空間を抜けたクロスピア、久し振りにクロスウッドの上空に出現し北西の海へと墜落していく…。
ヒルハイドタワーの最上階にいるエディール達、そしてルディースを探す為に奮闘している
チーム「フォースカインド」、そしてそれを阻むエバスも目撃してしまった。
ヒルハイドタワー、最上階――。
もしクロスピアがそのまま海底に沈み、私の可愛い次男を溺死なんてさせたら
そのまま一緒に死んで貰いましょう。要するに無理心中です…。ただ、ルディースには
ちょっとした秘密があるんですよ。楽しみです…
無事に指紋が施された部屋を脱出した事も知る由もないエバス。
開けるのに必要なミフィールがいるビアンラボに上空を見上げながら向かっている最中――。
確か墜落予想地点を"北西の海"にセットしたのは私ですし…
それと早くしなければ"あのシステム"が作動してしまいます。
ルディースさんには知る由もないでしょう…。
レイディア一家の次男、ルディース…。
彼を探す為、レサリアとグレイスを仲間に引き入れ探している最中の出来事。
エンディアが上空を見上げた瞬間、クロスピアが北西の海に向かっているのを偶然にも見掛けていた。
例えエディールの兄弟でも、彼等の優しい心は皆を笑顔にする。
次男ルディースを何としても助け出す為、エンディア達は意を決して北西の海へと向かい始める…
クロスピアの総指揮官であったエバスが
目標墜落地点システムを"北西の海"にしていた事を気付く事無く
少し上空を漂いながらも、海へと落下して何とかクロスウッドに戻って来る事が出来た…。
ただ事態は一刻も争う状況に陥っていた。
海に不時着した際に岩礁を引きずるように進水した為
クロスピアの最下層が浸水し始めて行く…。
その時の轟音を生で聞き取ってしまったルディースは身動きが取れない状況に陥っていた…