06話:蒼彩の最奥地!明かされたノルドイドの秘密!!
文字数 3,135文字
早くご主人様の元に帰った方が身のためだぞ、ウルグ…。
で、でも…。
俺等にも立場があります、ノルドイド様…。俺はスレイド様の役に立ちたくて…!!
おい、俺に逆らうと
ご主人様にも伝わるぞ。それがどういう事が分かるよな!?
わ、分かりました…。
スレイド様、一旦引き上げましょう。このままだと、ご主人様に…。
仕方ありませんね…。でも貴方のご主人様って誰なんです!?
ぐ、ぐ…。俺のご主人様はグレイザー。貴方と同じ幹部です、ノルドイド様…。
(確かグレイザーって、兄と行動を共にしている幹部の一人…。)
(あのウルグっていうモンスターも恐れる位だから、相当怖いんだろうな…。)
(ウルグ…。俺に逆らうなよ!
絶対に縄張り争いに勝ってこい!! 負けたらお仕置きだからな…。)
無念…。グレイザー様、済みません…。スレイド様、退却です!
キュシール、この子等を今すぐ放してやれ!!
キュシールに捕らえられたミント・オルガ・ユウマ達は解放され
彼等が通ってきた道を戻るウルグとスレイド、キュシールの3匹。
幹部の一人であるノルドイドの威圧に負けた彼等の敗北となった…。
ノルドイド…さん。
私たちを助けてくれてありがとうございます!
例には及ばぬ…。
俺は早く最奥に眠る秘密を知りたいだけだ。それと…。
ふん。今は語るのをやめよう…。後は最奥で話してやる!
ウルグとスレイドの縄張り争いに巻き込まれた蒼彩の洞窟を
住処にしているモンスターも無事に解放され、久しぶりのトット達との交流を楽しんでいる。
トット殿ー、お久しぶりです…。
ずっと会えなかったから心配で、夜も眠れなかったです…。
わーい、わーい。
レサドさんも、ミルフさんも戻ってきたよー!!
久しぶりの対面もこんなに感動的なのかー。もう泣きそうだよー。
皆、済まなかったな…。
元気そうで何よりだ!
あ、そうだ。プリト…例の奴はどうなった!?
あそこに見える抜け穴の先にいます!
全然動こうとしませんね…。
あの抜け穴の奥ですか…!?
もしかしてあそこにユウマさんの探し物があるのかあ。
蒼彩の洞窟の現在の事情に関して、さっき浜辺で話をした以外に
ミントやオルガに黙っていた事実がある。
ずっと黙っていたが、もうここまで来てしまった以上
打ち明けなければならない。トットが重い口を開く…。
ミント、オルガ、それにユウマ。
君達に話さないといけない事がある…。
この海に来た時、不審に思った筈だ…。
何故こんなにもこの海に人気が無かった事を…。どうだ?
確かに…。海は賑わいを見せる場所です!
ちょっと疑問に思いました…。
ま、まさか…。その原因を作ったのがあの抜け道の先にいるのか?
名は『ウォシア』。
この神秘の海を襲ったモンスターです…。
そしてこの蒼彩の洞窟にはこの神秘の海に住むモンスターを
守ってくれる精霊が…いるんです!
我等を守ってくれる精霊…『プリシア』。
プリシアはウォシアに捕らえられしまったせいで
この神秘の海は活気がなくなり、最近では曰くつきの海として
名を馳せてしまったんです…。
この神秘の海に隠された秘密…。
この辺一帯を守っている"蒼彩の洞窟"の最奥部に住んでいた精霊"プリシア"が
この海を襲ったモンスター"ウォシア"に捕らえられたせいで、
活気がなく人気も少なくなっていた。
****
ずっとその謎を追いかけていたノルドイドも全ての真実を知り、
フフフと薄気味悪い笑いをしながら、行動をし始める。
フフフ…。お前等ここまでだ!!
ユウマを無事捕獲した…。オルガ、ミントを連行しろ!
な、なんや!?
手を放してくれい!!
わ、わいは何もやっとらんぞっ!!!
えっ、ユウマさん…。ノルドイドさん止めて下さいっ!!
手を放して下さい!! 困っていますよー。
何言っているんですか、オルガさんっ!
あ、あっ!! 手を放して下さいよー。
ノルドイドの一声でオルガの本性が露わになり、彼はミントを追い詰め捕らえてしまう…。
オルガはミント、ノルドイドはユウマを連れて抜け道の先へと向かう。
――蒼彩の洞窟、最奥部。
海から流れ込んだ海水は全てこの部屋に辿り着く。
プクプクと泡を立てて現れたこのモンスターこそ、ここに住み着いている「ウォシア」。
用件は素早く…!
手短に話す! プリシアが持っているとある物を頂きに来た…。
ユウマ聞け!
プリシアが持っている物こそ、お前が探している"記憶の断片"だ!!
だけどお前には渡さんぞ! ボスに怒られますからね…。
そうなのか?
だったら俺のもんや! 返してくれはるか?
もう! さっきからユウマさんを虐めて
ノルドイドさんは何をしたいんですかっ!!
それと、オルガさん!
手を放して下さいっ!!
早くユウマさんを助けたいんですっ!!
ふん。良いだろう…。
俺が何かしたいか教えてやる!!
ぶーだ!!
何やってもおいらには勝てないよー!!
絶対にこの場所離れないもんねー!!
ノルドイドの表情が一変し、その場にいたミント・オルガ・ユウマ、そして
プリシアを捕らえたウォシアの動きが、蛇に睨まれた蛙のように身動きが取れなくなってしまう。
そう、ノルドイドのスキルは「金縛り」。
う、動けないですっ…。た、助けて下さい!!!
ユウマさんを助けなければ…。
なんや、これ…。身動きが取れへんぞ!!
これが金縛りっちゅう奴か…。初めて体験…いやいやいや…困るで!!!
安心しろ…。お前等に危害を加えるつもりはない…。
用があるのはウォシアとプリシアだ!
なあ、ウォシア…!!!
う、動けないけどウォシアさん…。プリシアさんが困っています!
わ、分かったよ…。でもこの場所好きなんだよっ!!
おいらも行く場所無くてここに彷徨ったんです。
お願いですー。ここに居座る事出来ませんか? プリシアは解放しますよー。
それは、ここにいるモンスター次第だ。
まあ、とりあえずプリシア出て来い!
こ、怖かったよー。あ、あの…優しくして下さいね…。
なら取引だ…。お前の持つ
このリリカルラビット"ユウマ"の記憶の断片…を
渡して貰おう。そしたら俺もお前に対して優しく接してやろう…。
分かりました!!
これがユウマさんの"記憶の断片"です…。
(あ、あれ…。リリカルラビットっていう位だから
"ウサギ"ですよね…。彼の所持品なのかなー。まあいいか。)
よし! これでユウマと、彼の探し物であった"記憶の断片"を頂いた…。
これでボスに顔立て出来るぞ…。ご苦労だったな、オルガ…。
オルガはずっと掴んでいたミントの腕を放し、自由にさせた。
そしてレサド、トット達が続々とやって来て、ウォシアと話し込んでいると
突然、オルガが持っていた連絡ツールである本が燃え始める…。
えっ…。何で本が燃えたの!?
お、お兄ちゃんに何かあったのかなあ。心配です…!
その時、オルガの所持していた本が燃えた事に呼応するかのように
ノルドイドが持っている連絡ツールが喋り出す。
ノルドイド様、グレイザーの協力者であるアルクが
彼に逆らった罰として処刑したみたいです…。
えっ、お兄ちゃん亡くなったの!?
えっ! えっ…!!! グレイザーに逆らったの!?
お、お兄ちゃん!!!
うわあああああああああっ!!!!!
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