42話:ヒルハイドタワーの思惑!ラディ―とロイジャス登場!!
文字数 2,816文字
女性研究員シェリア、そして妹のミアがビアンラボへ訪問する中
ヒルハイドタワー内ではブライドゼータの元所持者ビラン、
何かを企んでいるブル、ゼルシード、そして新たにエルディスの姿が…。
うぅ…。な、何とかエディールの闇に勝った。
ただ息苦しい…! 確かアルクって言うのはグレイザーの協力者だった人だよな?
そうですけど、彼に枯渇を渡したのは予想外だった…
全ては皇帝の指示に従ったまでだ。あの方は誰に何のスキルを渡すかを常に見ている…
もしかしたら今も何処かでほくそ笑んでいるかもしれない…!!
しかしながら、一度剥製になった…え、えっとアルクだったかな?
彼がグレイザーの手によって枯れた、いや死んだと言えばいいのか…
そこは表現が曖昧だけど、本当に蘇らせるなんて可能なのか…?
可能だ…。その為にビランがいる。
彼は元ブライドゼータ所持者。悪の心が憑りついている悪魔のような剣…
おっと…、失敬だ! 許してくれ…!!
全然平気ですよ。事実からは逃げられません…。
彼等はまだブライドゼータを使いこなしていない…
まだ逆転出来る立場です。その為にはまず、剥製になったアルクを元に戻す事!!
何、皆でコソコソしてるのー。
僕達も協力するよー! ねっ、ブルさん!
お互い敵同士だったから手の内分かるもんねー。さあ、そうと決まれば…
そ、その前にブリジスさん…!
これから作戦会議やるんでしたら、その前に疲れを取りません?
確か、ヒルハイドタワーの27階に
露天風呂っぽい施設があるみたいですよ…
奴等に気付かれないうちにさっさと入りましょうよー!!
ブライドゼータの元所持者ビランと共に
剥製になったアルクを元に戻すという想定外の作戦が始まろうと迎える中
キルディーが最上階からブルに連行されて来た時に、
不意に見掛けた露天風呂という文字に釣られてしまう。
(露天風呂…、デュードビレッジ以来だな。
確かあの時グレイザー様の逞しい身体を見たな。
またこの中にも居るのかな!? 興味はあるが、ちょっと怖いな…!!)
あっ、えっと…女湯ってあるんですかねー。
殿方しかいないイメージなんで…。私も疲れを癒したいよー!
安心してくれ。ちゃんと女湯もあるぞ…
えっと、あの時以来ここに来るのは久し振りだからな。
もし変わっていなければ、ユズキ…覚悟しておいた方が良いかもな…!!
実は今日ヒルハイドタワーにある露天風呂を経営管理している会社の女秘書が
直々に湯加減や効能の再確認をする日なんだ。彼女の名前は「ヘレン」。
ユズキのような幼児体型を見ると…。おっと、これは会ってからのお楽しみだな!!
このようなのほほんとした会話も久し振り。
シャランアゾールでは色んな事があったと振り返るリオルド。
楽しい思い出も、一緒に笑い合った日々も一瞬にして奪ったオルームの存在…
しかしながら家族として迎え入れてくれた彼からしたら
ライトと同じ息子のような存在である為、例えどんな
過去があっても「家族だから笑っていいんだよ…!」と伝えてあげたい…
けれども、今の彼にはその言葉も聞こえない…。
****
ヒルハイドタワーの最上階。
見慣れない顔をしている二名の男性の方がナギ、ゼロシード、スティード…。
そして幹部であるノルドイドとディゼールが対応をしていた。
いけませんね…、君達。
エディール様とグレイザー様、そしてオルームが居ない時に
出て来るなんて都合良過ぎます…。早く部屋に戻ってくれませんか…?
【ロイジャス】
エディール様が居ないんじゃ、お前でも十分だ。
かかってこいよ。お前を倒せばあの小屋、そして木漏れ日の森を枯らした
グレイザー様も納得出来る筈だ。いいぜ。かかってきなよ…!!
俺等幹部に「お前」発言か…。良い根性してるな、ロイジャス!
さすが木漏れ日の森の奥にある廃屋、元住人…。
皇帝が目を付けただけの資格はあるな…!
ただ…、お前の左頬…。エディール様に傷つけられたんだよな…
良い気味だ。俺のスキル分かってるのか?
両手なんか使わなくても発動出来るんだぜ…。やられたいのか?
殺られる前に倒せばいいんだろ? グレイザー、エディールはいずれ倒す…。
その前にまず、余裕そうなお前等から一匹ずつ…。
おい、ラディ―…お前も何とか言ったらどうだ?
恨みがあるんだろ? 言ったらスカッとなるぜ…!!
【ラディ―】
だ、大丈夫だよ…。確かにディゼールさんには恨みあるけど…
勝てっこないし…、挑んでも無駄だって分かってるから…。
…………。
言いたい事があるなら言ってくれませんかね?
そういうおどおどしている人が大の苦手なんですよ…!!
うぅ…。皇帝と名乗る人が僕の両目に傷を付けられた日から
バイオリンが上手く弾けなくなったんです。ど、どう…してくれるんですか…?
そ、それと旋律の館…、いやメロディシア返して下さいよ!!!
あれは僕が受け継いだ立派な御屋敷なんです…
だったら…最初からそう言って貰えませんかね…。
メロディシアって言うんですね、あの旋律の館…
ただ、私のスキルで壊したので跡形もありませんよ…
そんな…。
メロディシアには父から貰った大事なバイオリン…、そして
シャランアゾールの工房で作って貰った特注品…、誕生日プレゼントとして貰ったのに…
新しく作って貰うにも…、もうその場所も…。はぁ…。
会話している最中、用事を終えて
最上階へと戻って来たボスのエディール、覚醒して姿も変わったグレイザー、オルームの姿…。
いけませんね…
ラディーさん、そしてロイジャスさん。
貴方達今すぐ部屋に戻ってくれませんかね…。
エディール…! よくも…俺が使っていた小屋をボロボロにしたな…!
廃屋にさせたのはお前じゃないか…。それとグレイザー、お前も同罪だ。
幼い頃から遊んでいた木漏れ日の森をあんな風にしやがって…!!
今にも潰れそうな汚い廃屋を綺麗にしたまでです…
人聞きの悪い事言わないで貰えませんか? それに…
グレイザーさんのスキルの試し打ちには持って来いの場所だった…
どうだ…? 枯渇は美しかったか…?
幼い頃からよく遊んでいた木漏れ日の森…
リリカルラビットであるアルムが好きだったビリジロードが咲き誇っていた美しい場所でもある。
川のせせらぎ、生い茂った草花、暮らしていた小動物も
全てグレイザーの枯渇によって枯れ果ててしまった。
覚醒した彼には感情など何一つ無い。感情を捨てるかのように
エディールを守るように立ち尽くし、ロディアスのパンチを鍛えられた腹筋で喰い止める。
こんなパンチ、効かねぇよ…!!!さぁ…ロイジャス。歯を食いしばれ…一撃で仕留めてやる!!!
ヒルハイドタワーで二つの思惑が動き出す。
アルクの蘇生を企むビラン達一同。そして、未だ詳細が掴めない
エディールを筆頭に目論んでいる謎過ぎる計画。
交錯する中、最上階にてロイジャスと覚醒したグレイザーのバトルが始まろうとしていた…。
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