53話:生死を賭けたゲーム!ライトの払拭と決意!!
文字数 3,939文字
ヒルハイドタワーの地下収容施設に現れたのは、ビアンラボのスタッフであるルドス…。
けれどもシャウトシグマを投げ捨て落ち込んでいたのは
全て内通者を誘き出す為に企てた作戦の1つ。そして施設部屋の
檻を壊そうとする瞬間、暗殺者で殲滅好きのオルームが現れる…。しかし
彼はずっとグレイザーのペットであるウルグと共に遊んでいた事が判明される。
それもその筈。皇帝のお膝元である暗躍組織「アンドルディシア」のメンバー「シルディート」による
スキル「変装」の仕業である事が発覚する…。そう、彼こそライトやリオルドを傷付け
シャランアゾールを壊した張本人。
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ヒルハイドタワー、最上階――。
エディールに怒られているシルディート。
オルームにしか皇帝の正体が分からない為、
変装したら分かると思っていたようで、少し呆れ果てている…。
俺のスキルは目標をまず襲撃…、そして
口調や性格、服装…それ以外にもあるが、インプットするのが必要条件だ…
もちろん持っているスキルも使えるようになる…。
オルームなら襲撃済み。安心して下さい…
オルームに変装しろと言いました?
自らヒルハイドタワーの最上階へ瞬間移動するかのようにやって来た…
貴方にはペナルティを差し上げます。後2つ…。
3つ揃ったらどうなるか…もちろん分かりますよね…
貴方のスキルは素晴らしいんですから、私の為にちゃんと働いて下さい…。
分かりましたか?
ジハイド所長、アルバート、シドルフ、レサリア…
ネルフ、オルガ、グラス…、計7名…。
その中でスキルを持つ者はシドルフの樹木、ネルフの岩石…たった2つだけです。
もちろん貴方達なら楽勝で倒せますよね…。期待していますよ…。
邪魔する者は消して十分です。
自分の闇深い性格に相当の自信がある。しかしながら暗躍組織「アンドルディシア」のメンバー
シルディートだけは遊び半分の行為によりペナルティが付いてしまう。
ビアンラボからの精鋭部隊も細かく知っている事からやはり、内通者がいるのは間違いない…
そんな中、皇帝とエディールの元に物凄い形相をした手下がやって来る。
突然の出来事にエディールとシルディートは驚きを隠せず、皇帝の方を振り向く。
エディール様とシルディートさんを馬鹿にするな。
素晴らしいスキルを持つメンバーです。
檻が壊された? だったら貴方達で何とかするのが手下の役目じゃないのか、あぁ?
役立たずはここで死んでいくんですよ。スティードさん、来て下さい。
地下収容施設に捕らえているメンバー個々の情報は届いてある。
ルドスは今シャウトシグマを所持していない状態。
ただ、グレイザーさんがまだ彼に狙いを定めているので、戦いは避けるように…。
そしてオルームはスキル「断割」の所持者。闇が更に増し
俺等の傘下として必ず協力してくれる筈…。さあ行け、スティード…!
貴方のスキル「鎖」も期待していますよ…
幹部「マイティーダーク」やゼロシードはこのヒルハイドタワーを占領していて
自由に動き回れる為、どの階に誰が居るかは全く分からない…。
そんな事も知らずに地下収容施設を抜け出し、リリカルラビットを連れて
1階へやって来た瞬間…
自由の身になったデルシアの元にマイティーダークのメンバーである
兄・ディゼールと、ヴィルゼートがやって来て足止めさせられていた。
デルシアと言ったな。ここは見逃してやる…!!
ライトと言う奴はどいつだ? 出て来い…!
闇に落ちた幹部「マイティーダーク」のメンバーである以上、全く響かない…
家族、ましてや兄弟だと言う身内柄…。
ただ、それはエディール様の計画にない為、止めに入ったのはさっきまで最上階で皇帝の指示を
承っていたスティード。標的はもちろんライト…ただ一人。
ライトが負けたら2人とのお別れ、そして訪れるのは死だ。
歯向かった罰としてエディール様から制裁が下される。
これは生死を賭けたゲームだ…、覚悟出来たか…?
勝つとその先にある階段から上へ昇れる。
しかし負けると家族であるリオルド、そしてオルームと離れ離れになり、
挙句の果てにエディールの協力者スティードに歯向かった罰として殺されてしまう…。
家族を守る為に勝ちたい思いは強い。しかしながら
彼は敵サイドの人間。尚且つエディールの協力者として働いていた為、
実力を兼ね備えているに違いない。
そんな時、悩んでいるライトの元に駆け寄り、
オルームとリオルドはとある決意を固めて、彼を抱きしめる。
一時期でも去ったライトはずっと家族の在り方について考えていた…。
仕事を頑張っている父に何て言葉を掛けてあげたらいいのか?
接し方が分からなくなっていた…。
しかし記憶を失ったオルームの面倒を見ながら、少しずつ彼の心境に変化が訪れていた。
2人で過ごしていた時に無かったモノが、彼と一緒に居ることでようやく見つける事が出来た。
"絆""信頼"
分かってあげられなかったのかな?
頑張っているのに何もサポートしてあげられなかったな。
このままでいいのかな?
彼はずっと思い悩んでいた。ただ、家族は家族。愛してくれているから親身になって接してくれる。
リオルド、オルーム…。済まないな…!
"俺、もっと頑張るから…。"
まさかシルディートが変装していたとは知る由もないけれど、性格はオルームのまま…
ライトの胸の中で今までの事が走馬灯のように駆け巡り、彼の目からは大量の涙が溢れていた。
思いの台詞をスティードに投げ付けるかのように、吐き出す。