45話:封印された過去!ジルバとブリジスの傷跡!!(後編)
文字数 3,620文字
[前回のあらすじ]
ある夏の日の夜、まだ幼かったルドスとジルバが両親の居ない間に
星を見に行った時の出来事…。皇帝に連れていかれたブリジスはまんまと思惑通りに
動かされてしまいお互いの自宅に星を落として、殺してしまう…。決して彼のせいではない。
全ては皇帝のせい。その事実を知るまで時間が掛かった…
クロスウッドの何処かにあるお城でずっと隠し通していた
事実をこれから "とある計画" を始めようとしていた各メンバーに暴露してしまう。
おい、ブリジス…! お前、よくも俺の両親を殺したな…。
一番悲しんでるのは、弟のルドスなんだ。お前にも分かるだろ?
大切な人が亡くなったんだぞ…!!
…………!!
本当に僕がやったの…? 心当たりがないんだ…。
とぼけるなよ…!!
皇帝はお前がやったって言ってるんだ。
嘘を言ってるとでも思ってるのか…!?
ブリジスさん…。貴方皇帝の顔に泥を塗るつもりですか…?
これから苦楽を共にする仲間なんです…。
貴方がジルバさんの両親を殺した…。それでいいじゃないですか…
私は嘘を付く人が嫌いなんですよ…
「本当に知らない」…、それがブリジスの言い分。
それもその筈。彼はまんまと皇帝の策略に嵌っている事、まだ知らない…。
重苦しい雰囲気の中、いよいよ真実が語られる。
ある夏の日の夜、一人の幼い少年を連れて星を見に行った…
両手の人差し指…、なぞるように…。
だよな、ブリジス…!!
あの日の記憶、ま、まさか…。
僕がやったあの行為…。全ては皇帝の指示通り…
え、えっ…! ぼ、僕がやったんだ…。
ジルバくんの両親、そして僕のパパ、ママも…!!!
ブリジスは知らなかった…
愛するパパやママ…、自分が星を落として殺した事。
お互いにまだ幼少期。これから教養を付けて育って行く中、一夜にして彼が命を奪った。
皇帝の指示でも、絶対に人を殺すという事はやってはいけない…。
ちゃんと躾をして貰っていたのに…
そんな中、ジルバの額に掘られた刻印が赤くなり、彼は皇帝に洗脳され始めてしまう…
目の前にお前の両親を殺したブリジスがいる…。
何をするべきか分かるよな…。その刻印にはここに出入り出来る証ともう1つ意味がある…
善の心しか無い奴を無理矢理に洗脳させる事が出来るんだ…!!
さあ、ジルバ。葬った彼に刃を向けろ…。
や、止めろ…。確かにブリジスが俺の両親を殺したのは間違いない。
ただ、そんな事は間違っている。相手を傷付けてまで
謝ってなんて欲しくない。お、俺は…ブリジスの口から
きちんと言うまで待ってる…!!
【レイディア】
その言葉、皇帝には届かない…!
軽く侮辱したな。哀れですので、痛い目に遭って貰いましょう。
エディール…。弟でしたら兄の言う事は絶対服従。制裁を加えて貰えませんか…!?
【アージェス】
ああ、そうだな。
エディール、これからとある計画に加わる同士…。
お前の実力を見させて貰う。ジルバとの戦い、途中で終わったからな。
レイディアの弟だろうが、実力が無いんじゃちょっと困るんだよ…!!
いつも通りの実力で良いんですよね…。
皇帝、しかと目に焼き付けて下さい。
これから幹部「マイティーダーク」のボスとして務めを果たすんですから…
さあ、エディール…。制裁の時間だ。
そうだな…。左目に深い傷を入れろ…!!! 皇帝の言う事は…
必ずや成功し、目標を遂げる事…ですよね。
そんな事分かっています。ジルバさん…、痛いようにはしません。
目を瞑ってくれませんか…!?
いつの間にか立場が
ブリジスから
ジルバに変わっている…。
それもその筈。皇帝やエディール達からしたら言葉で物事を解決するのは絶対に認めない。
やむを得ない時はどんな卑怯な手を使ってでも目標を達成する為
力に全て頼り切っていて、周りの意見には決して流される事はない…
エディールはゆっくりとジルバの顔の前に手を翳し、指の深爪で左目を斜め方向に切り上げる。
痛てぇ…じゃないか…!!
え、エディール。な、何だ。さっきより苦しさが増したぞ…
ど、どういう事だ。これで終わりじゃないのか…!?
言っていいのか…!?
お前等に言っても何は変わりはしないと思うけど…
痛いし、この刻印に操られて辛い…。な、なんとかしてくれ…!!
いっその事、殺せばいいじゃないか…!!!
痛み、辛さ、苦しみ…。条件が揃いました、皇帝…!!
ようやく待ちくたびれたな。このような形で実力が知れる日が来るなんて…!
さっさと始めてくれ…!! 退屈なのは嫌いなんだ…
ああ…。この力を操るのはジルバ…。お前が初めてだ!
当初はエディールさんに使う予定でしたけど、せっかくの
実験材料です。それでは始めましょう…、闇の宴を…!!
****
ここは城の2階。
皇帝の合図として部屋にあるサインが光り始め、
そこにいたリオルド、そしてシェリアの2人が指示に従い、とあるシステムを起動し始める。
このサインが鳴ったと言う事は、このシステムを…。
あれほど使うなと言って置いたんだけどなあ。
しかし、皇帝の指示だ。従わないとまた何されるか分からない…。
リオルド所長…。
とりあえずはこの一件が終わればこの城とはお別れですわ。
貴方が途中で切り上げたあの…、名前何て言いましたったけ?
リリカルラビットだよ…!
もう、何度も名前言っているのに忘れないで頂きたい…。
奴等がやろうとしている計画の合間を縫って、何としても見つけ出すんだ…。
さあ、さっさと任務を終えて俺達の任務を始めよう。
シェリアくんも宜しくお願い出来るか?
そう。まだエディール達が謎の計画を始めようとする前から
リオルドはリリカルラビットのとある事を研究している。もちろんそれにシェリアも携わっている…
皇帝が刻印を操る以上に、更に苦しみを増して襲い掛かっていたジルバ。苦しみが止まらない…
はぁ…。はぁ…。
ブリジス。ここから逃げてくれ…!!
俺はお前に危害を加えたりなどしない…。
逃げて貰っては困ります…。さあ、ジルバさん。
貴方の深い所にある闇を出して下さい…。ほら、見えて来ましたよ…!!
良いですね…。さあ、やるのです!!!
黒いオーラを纏った一つの斬撃がブリジスの背中に当たる。
しかし、その斬撃は掠った程度で方向を変え天井を突き破り、上の階にあるシステムに当たり
誤作動を起こし、城内の明かりは停電…。そして暗闇に包まれた
王座の間でブリジスとジルバは二人揃って姿を消してしまう。
その日以来、ジルバとブリジスの姿を見ることは誰も無かった。そう "彼" だけ除いて…
【オルーム】
ブリジスに、ジルバか…。名前は覚えさせて貰ったぞ…!
皇帝の元から逃げ出すなんて哀れだな。僕が殺すまで死ぬんじゃないぞ…。
まさか二番目にスキルを貰えるなんて光栄だ…、ゼルシード。
【ゼルシード】
はい、オルームさん…。
これは皇帝の指示です。断割は気に入ってくれましたか?
まだ使ってはないけど、ゼルシードさんがくれたこのスキルを物にして見せる!!
それまで待っていてくれないか!?
もちろんです。
皇帝のお膝元であるオルームさんでしたら
確実に大丈夫です。気長にお待ちしておりますね…!!
****
貴重な資料やデータだけを持って停電の中、城内から
逃げ出したリオルドとシェリア。荒い息を立てながら必死に走り、皇帝やその手下と
思われる傘下の見えない所で少し休憩をし出す。
何てこった…。せっかく俺が作り上げたシステムが…!
ただ、何とか資料やデータは無事だ…。
これを持って急いでクロスピアへ…!
あ、あれ? シェリア…。声が聞こえないけど、どうした…!?
リオルドさん…、次の貴方の目的地は
ヒルハイドタワーです。来てくれませんか…?
安心して下さい。シェリアさんは遠い場所に飛ばしました…
もちろん…、報酬は出します。ただ…成功したらのお話です。
その為に今貴方が持っている資料やデータが必要になるんですよ…
これは、後に始まるリリカルラビットの…。
いや、それを今言うのは止めて置きましょう。
そう、これがリオルドとエディールとの出会い…。
この出来事以来、彼はヒルハイドタワーでリリカルラビットを使ったとある実験に
巻き込まれるなんてその時は誰も知る由も無かった…
****
そして現在、城内――。
皇帝の元にアンドルディシアの最後のメンバーが到着し、接触を果たしていた。
貴方がアンドルディシア、最後のメンバーですね…。
名前と、ゼルシードさんから頂いたスキルを
教えて貰っても良いですか!?
【シルディート】
名はシルディートで、スキルは変装。お前が皇帝か…!
さっそくだけど、良い知らせを持って来たんだ。聞いてくれないか?
俺の素晴らしい変装スキルで、ビアンラボへの潜入成功した…
皇帝が探していた例の奴見つけたぞ…!!
確か、刻印を掘るんだったよな…。ジルバ、ライオット…確か後一人の名前は…
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)