20話:幹部達の猛攻!リオルド最後の抵抗!!
文字数 4,195文字
グライド研究所に忘れてきたデータがリオルドの家に張り巡らせてあったバリアを解除する鍵。
見事に解除させられ、リオルド宅を突き止めたグレイザーとディゼール。
リオルドの指示により無事に裏の勝手口から逃げ出した
オルーム、そしてルドスを背負ったドロア。
ただ、リオルドだけは彼等と対峙している…
おやおや、リオルドさん…。
まさかこのような住処にいたとは、驚きです!
ちゃんと徹底してるな…。
だけど、もうお前の家に張り巡らせてあったバリアは解除させて貰った!
貴方の左目、確か
ヴィルゼートさんでしたよね…。
ヒルハイドタワーで貴方が逃げ出した際に負傷したの覚えていますよ…
お前もヴィルゼートの左目、負傷させた…
だけど返り討ちに遭った。だろ?
そうだ。俺はリリカルラビットを守る為にヒルハイドタワーを
死に物狂いで脱出した。だがあんな場所に奴がいたなんて思いもしなかった…。
ただ、迂闊でしたね…。
大事なデータを忘れてきた事。
ヴィルゼートさんがずっと持っていましたよ…!
俺こそ失態を犯した…。
だからお前等に付け狙われるのは分かっている…。
それでも俺はリリカルラビットを守る!
グレイザー様とディゼールには何にも言う事はない。帰ってくれ!!!
ほう。グレイザー様にはきちんと"様"を付けているのに
私には呼び捨てですか。なかなか肝が据わってますね…
グレイザーがリオルド宅にあるベッドをずっと見つめて
何かに気付いたのか無言で家の中に上がり込み、
そして冷酷な目をしながらベッドの上に手を当て始める。
なるほどな…。おい、お前に1つ聞きたい事がある…。
さっきまでここに誰かいたな…。
正直に言えよ! もちろん誰がいたか教えてくれるよな?
なあ、リオルド…。
あれ、どうしたんですか?
言えないなんて、何か隠し事をしている証ですよ…。
大体察しはついています。この場所は "あそこ" に近いですからね…
俺が始末した奴の姿がなかったぞ…
もうそこまで言えば誰か分かるだろ? 言わないなら、枯らすぞ…。
(済まない、こいつ等には隠し事は出来なさそうだ…)
傷付いたルドスを助けた。それと、オルームとドロア。
その様子だと、やはりお前等が彼を…。
何と言う仕打ちをするのだ!
だから、何だ?
理由を言えと言ってるのか?
ここに来た理由分かって言ってるのか?
エディール様がお呼びです…。
貴方に話したい事とやって貰いたい事があるそうです…。
もちろん来てくれますよね?
嫌だ! と言っている。
もう良い加減に…帰ってくれ!!!
グレイザー様とディゼールさんに盾突こうと
玄関先に立っていた二人を外に押し出し、思い切り扉を閉め
家の中のパソコン近くにある何かのスイッチを押す。そして彼はベッドの上に寝転がり
初めてオルームと会った日の事やこれまでの日々を思い出しながら目を瞑る。
今日から宜しくお願いします!
ライトさんって素敵な名前です!。
僕もお手伝いしながら役に立てるように一生懸命頑張ります!!
こちらこそ宜しくな。
そうか、お前の名はオルームって言うのか…。
素敵な名前だな! 少しずつでいいからね。頼むぞ!!
あっ、ご、ごめんなさい…。
大切な資料の上にジュースを零してしまいました。
今から拭くんでリオルドさんは研究の方頑張って下さい!
失敗は誰にだってあるさ。
俺も父さんには怒鳴られてばっかりだけどな!
それでも笑顔で接してくれるんだ…。それが父さんのやり方なんだぜ。
もうっ!
研究ばっかりで僕に構って下さいよ!
でも、そんなに研究熱心でいられるなんて尊敬しちゃいます。
でしょ? 俺だってそう思うけど
一生懸命でここまで成果を遂げてきた父は
俺の誇りなんだ。もっと俺も頑張らないといけないな! って思うんだ…!
そうだな、オルーム。
父さんを貶す(けなす)奴は俺が許さない…。
俺は父さんが好きなんだ!!
リオルドの目から涙が出てベッドに大量に染み付く。
オルームとの約束を果たせずに彼がベッドの上でこう呟く…。
ライト…、こんな父さんを許してくれ…。
オルーム、お前ともっと一緒にいたかった。
ドロア、ルドスを連れてどこまでもひたすら逃げてくれ…!!
後は任せたぞ。3人とも俺に付き合ってくれて…
彼はリリカルラビットの割とあらゆる情報を持っている研究の第1人者。グレイザー、ディゼール率いる幹部「マイティーダーク」に引き渡すなら
その情報と共に消えると決意を固めていた。そして家にいつか来ると思われる奴等から
逃げるために元々仕掛けていた爆弾を作動して、彼はその情報と共に
木っ端微塵になってしまい、リオルドと共に姿を消してしまう…。
リオルド宅の崩壊と共に、リオルド自身も自ら命を絶つ光景を目の当たりにした
グレイザーとディゼールは驚愕の目をしていた。
なっ!
あいつ自滅しやがった…。予想外だ!!
でも俺を押し出してまで俺等に情報を渡さなかった。
それだけリリカルラビットの情報を大切にしていたんですね…
これで手掛かりがなくなりました…。
リオルドの自滅と共にヒルハイドタワーにいるエディールが連絡が入り、
今遭ったことを正直に話し始める。
エディール様、申し訳ございません…。
リオルドの奴、自滅した…!
リオルドさん、私達に盾突いて
連行されるのも嫌、情報を渡すのも嫌で自分自ら命を絶ちました…。
申し訳ございません、エディール様。
****
ここはヒルハイドタワー。
近くにいたブル、ナギ、ゼロシード、そしてスティードも
エディールの怒りが頂点に達した事に気付き、彼を恐れ始めて来ていた。
何やってるんですか?
言いましたよ、グレイザーさん、そしてディゼールさん。
次やったら後はない! と。
また失敗したんですね…。
貴方達…いや、お前等! 死んで償ってくれるのか?
おい、聞けや…!
どうしてくれるんだ?
まあ、とりあえずヒルハイドタワーに戻って来い!
話はそれからしようじゃないか…。なあ!!!
(エディール様が怒ってる…。
これ、ヤバい雰囲気だよー。グレイザー様とディゼールさん、可哀想…。)
グレイザーとディゼールとの連絡を終え、リオルドの自滅という報告に納得していなく
気分は最低、怒りは頂点に達したエディールはここぞとなく自分のスキルを
ヒルハイドタワー最上階に放し始めた。
ちっ! 怒りが治まりません…
良いでしょう。これでも出しますか…。
治められるならどうぞ…。
エディールの手から放たれたのは闇の弾状のような物。
闇の弾状は四方八方に投げ飛ばされヒルハイドタワーの窓に目掛けて飛んで行くが…。
スキルを持った2人の幹部ナギ、ブル。
そして協力者であるスティード、暗殺者(アサシン)ゼロシードの超人的なジャンプ力により
エディールが四方八方に飛ばした闇の弾状のような物は消え、ヒルハイドタワーに傷一つとも付けずに
治まった。もちろんその様子を怒りながらも見ていたエディール。
やはりスキルを持った者は違いますね…
お見事です!!!
スキル発散で何とか怒りは治まりましたが、
リオルドさんの自滅は本当に予想外です。
あの実験に他に立ち会った人がいればいいのだけど、思い出せません…。
そういえば、ゼルシードさんが見当たりませんね…
もう帰ったのでしょうか?
ああ、さっきナギにスキル渡して急いで帰ったみたいだ。
何か急いでいたぞ…。俺には関係ないけど!
****
無事にリオルド宅から逃げ出したドロアと背負ったルドス、そしてオルームは結構離れた場所まで走る。
追手は来ないと判断し、やっと休憩しようと大きな岩の上にルドスを下ろすと
ようやく目を覚まし、周りをキョロキョロし始める。
お久しぶりだねん。ドロアよん。
覚えているよねん? ルドスちゃん…!
貴方倒れていたから私とこの子、オルームちゃんと
リオルドちゃんが助けたのよん!
ああ、確かそうだったな…。
あ、あれ? な、ない…!
くっ、グレイザーの奴、ブライドゼータをよくも!!!
ドロア、手を離せ…。
俺はヒルハイドタワーに取り戻しに行くんだ…!!
こ、これは俺の失態だ。意地でも…。
バチンッ!とドロアはルドスの頬を叩く。
重傷を負ったのにそれでも無理をして行こうとするルドスをママは見捨てる事が出来ない。
ちょっと!
無茶しないでちょうだい!!
貴方まだ回復していないのよん。この子はオルームって言うんだけど
彼もリオルドちゃんにお世話になっていて、貴方の治療を手伝っていたのよん。
それを無駄にしないで頂戴!! 分かった?
初めまして、ルドスさん! 僕はオルームって言います。
ずっと寝ていたのをリオルドさんと一緒に看病しました。
まだ治癒出来ていないのでもう少し冷静にしていてくれませんか?
ふん。ありがとよ!
興奮して済まなかった。じゃあ、お言葉に甘えて少し横になる! いいな?
****
ここはリオルド宅があった場所からヒルハイドタワーに向かう途中にある
大草原。自然が豊かな場所で、可愛い動物からちょっと獰猛な動物まで沢山生息している。
ルドスとオルーム、ドロアが
大きい岩の上で休憩をしていると「おーいっ!」って言う声が聞こえて来た。
このような口調で喋る人は一人しかいない。
そう、ライトとミフィールを連れてブリジスとキルディーがやって来た。
あれー? 君は初めましてだよねー!
僕ブリジスって言うんだ。君の名前は?
突然いなくなったから、ずっと探してたんだからね!!
****
再び物語の舞台はヒルハイドタワーへ。
ここは15階にある専用実験室。
エディール、ナギ、ゼロシード、スティードの元を離れたブルが何故かその部屋に入れるカギを
使って中に入り、明かりを付ける。そこには…
ゼルシードと共に死の森(旧木漏れ日の森)で回収した "アレ" がある…
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