36話:嘲笑のアンドルディシア!嘆きの暗殺者オルーム始動!!
文字数 3,306文字
闇に染まり再び幹部として動き出したグレイザー…、
ヒルハイドタワーに流れる不穏な空気を探りながら、辿り着いた場所は15階の専用実験室。
そこには木漏れ日の森【死の森】で回収した彼が殺して
剥製のまま姿を留めているアルクの遺体を設置しているブルの姿が。
ぐ、グレイザー様…。
す、すみません。これは極秘の任務なので言えません…!
ブルさん、この部屋で何しているんですか…?
ここにグレイザーがいると言う事は、不穏な空気の正体は貴方になりますね…
この声は…、エディール様…。
け、決して怪しい事なんてしていません…!
冷酷な闇を漂わせ、そして冷たい視線で15階にある専用実験室に
笑みを零しながらエディールが中へと入って来る。
でしたら、そこを退いてくれませんか?
貴方、幹部として動いているのに極秘の任務なんて…、私に何か隠し事ありますよね…。
もちろん言ってくれますよね…!!
いくらエディール様でも言えません…! それにこれは…
"あの方" からの任務なんだ…
エディール様…、背く事出来るんですか?
仕方ないですね…。グレイザーさん、ここは一旦引き下がりましょう…!
ブルさん、忘れないで下さい…。ここはヒルハイドタワー…。
私の偉大な計画に泥を塗ったら、貴方も闇に引き落とすからな…!
初めてエディールに反論する幹部の一人であるブル。
彼が専用実験室でやろうとしている事は、ゼルシードと共に木漏れ日の森で回収した
枯渇を喰らって剥製化したアルクに関連がある。少なからずその遺体を見たグレイザーは思っている。
ただ、その場を立ち去ったエディールも黙ってはいないようで…
私に反論したのはブルさんが初めてです…
ただ、あの方の指示じゃ私も止められません…。
グレイザーさん、あの部屋で何を見たか覚えてますか?
そういう事か…。グレイザー、ブルさんを見張って下さい…。
そろそろボロを出す筈だ。彼の言うセリフに耳を傾けるように…。良いですね?
ヒルハイドタワーの不穏な空気の正体は、極秘の任務をしているブルの謎の動き…。
専用の台に置かれた剥製化したアルクの遺体は何を意味しているのか分からないまま
またここにして新たな謎が生まれてしまった…。
****
ここはクオーツリミテッド。
ブル同様、オルームも皆を見下ろすかのように裏切り行為を見せ始める。
オルーム…、俺達を裏切っていたのか?
何か言ったらどうだ? 裏切り者…!!!
ブル…。お前本当なのか?
じゃあ、俺の研究の助手をしていたのも何か理由があるのか?
そうだな…。利用出来るモノは利用するだけの事だ…。
確かに断割というスキルはゼルシードと言う奴に頂いた…!!
それに僕の任務はリリカルラビットの捕獲…じゃないからな…。
その前に…、おいオルーム。
もちろん俺の事、覚えてるよな?
この服の付着している血液、お前が攻撃して出したモンなんだぜ…
でしょうな。鮮明に覚えているぜ…
あの方から "ルドス一家" は強さしか興味を持たないと聞いてたからな…
僕がとことん稽古を付けて、お前の弱さを証明してあげただけだ…。
ガッカリだな。断割のスキルを使うまでも無かった。
おい、オルーム。お前、何を企んでいる…。
言わなかったら星にするぞ…。良いのか?
…………!!!
"スターロード"。確かお前の自宅前にあるんだよな…
お前のスキル「星」にはとある欠点がある事位知ってるんだ…!
何を意味しているのか分かるよな?
星にするって言うのは聞こえが悪いけど、決して殺しては無い…。
お前は気に食わない奴にきちんと反省をして貰う為に
星の中に一時的に閉じ込めているだけ…。
ただ1つ例外がある。その星を割ったらそいつの命が無くなる…。そうなんだろ!?
やっと気付いてくれたようだな…。
僕が皇帝に課せられた任務は、"殲滅" だ…。
リオルド宅に辿り着いたのも偶然じゃない…。
"スティード" という奴から情報は貰っていたからな! 悪いな、ライト…。
お前、ひでえ奴だな…。見損なったぞ…!!
リオルドの前で流した涙、あれも嘘か…!?
仕方ない…。
リオルドさん、ユズキを連れてビアンラボに向かってくれ…。
俺達はオルームを喰いとめる…。こいつ…、俺を殺し損ねた位だ。相当強いぞ…!!
良いだろう。僕の強さを証明してやる…!
星で仕留めてやる…。オルーム、いいんだな!?
ブリジスは無数の星を手から発射し、彼に攻撃をし出すが
彼の身体は頑丈過ぎて、いくら当てても無表情。そして何故か真っ二つに割かれ、地面に落ちて行く。
それもその筈…。これがオルームの断割のスキル効果…。
エディールと同じように、いくら攻撃を繰り出しても
彼からしたら無効化出来る体質。
痛くないし…、何処に当ててるんだよ!
生温すぎて、お話にもならないな…。もう飽きたから殲滅開始だ!
皇帝、任務開始しますので例のアレ…、宜しくお願いします!!!
****
ここは雰囲気悪い大陸「クロスウッド」の何処かにあるお城。
大広間にある階段の上にある玉座に座っている皇帝、近くにはレイディアとアージェス。
そして、クロスピアで捕まったライオットの姿が…。
大人しくしろ、ライオット…。
額に刻印を入れさせて貰うぞ。これでお前もリリカルラビットに…
おい、アージェス…。
これ以上喋るとお前も敵とみなす…。
分かっていますよね!? これは私からの命令ですよ…。
申し訳ございません…。
苦しいのは数秒だ。さあ、目を瞑れ!!
鋭い目つきでライオットを睨み、彼は凍り付くように身動きが取れない…。
うっ…。な、何だ…。
この腹が煮えくり返るような感じは…。
ライオット、自分に言い聞かせろ…!
俺は「アンドルディシア」…、リリカルラビットを使いこの大陸「クロスウッド」を支配する者達の一員だと…。
その刻印はこの城に入れる証(エンブレム)だ…。光栄に思うがいい。
ここにいる三人の不気味なオーラがライオットの周りに漂わせ、彼の姿は全く見えない状態になる。
それが晴れた時、彼は「アンドルディシア」の一員となり、悪の道を辿る事に…。
さあ…、アンドルディシアのライオット。目覚めろ!!
はい…、皇帝…。
それにレイディアさん、アージェスさん。
貴方達の為に尽力させて頂きます!!!
ライオットを「アンドルディシア」の一員にした事と同時に、
もう1つやらなければならない事を思い出すレイディア…。
皇帝…。もうそろそろ例のお時間です…。
時計の針は動き出しました。後はオルームだけです…
そうでしたね…
クロスウッドを地に陥れる暗殺者として野に放しましたからね…
唯一の誤算は一部の記憶が無くなった事ですけど、私達には全く関係ありません。
ライオットさんはヒルハイドタワーに向かって下さい…。宜しいですね?
じゃあ、始めよう…。
暗殺者オルーム、この地「クロスウッド」にいる全ての者を殲滅せよ…!!
****
ここはクオーツリミテッド。
オルームの周りに怪しい煙が突如として発生する。その煙の色は禍々しく何か陰気臭い…。
不気味な笑みを浮かべながら、彼が来ていた私服も
暗殺者 "オルーム"としてふさわしい装いになっている。
これが俺の本当の姿だ。
暗殺者か…、気持ちいいな。
ただ俺はゼロシードとは訳が違うからな!!
おい、ライト! まずはお前からだ…。ズタズタに切り刻んでやる!!
思い切り飛び出しライトの元に駆け寄り、スキルを繰り出す…。
けれども息子を思う気持ちからか、リオルドが彼の目の前に立ち、
オルームのスキル「断割」の攻撃が腹部にクリーンヒットし、大量の血液を吐いてしまう…。
う、うぅ…。こ、これでいいんだよな…。
オルーム、も、元に戻ってくれ…!!! また笑ってくれよ…。
ふざけんな、バーカ。まあ、いい…。
貫通したみたいだな…。これでお前もおしまいだ…!
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