100話:怒涛のヒルハイドタワー!マイティーダーク壊滅劇開始!! part6後編
文字数 5,087文字
アッシュが古城フィンディルにやって来た事により目を付けられてしまい、
皇帝の指示でやって来たレイディアとアージェス……
他大陸 ″グランバード″ に常に居る訳ではない……。
トランド署長の選りすぐりのメンバーを筆頭に、この飛空艇に乗艇し各大陸の
情勢やパトロールを行ってきた。絶対に見過ごす事など出来ない。警察の一心に掛けて
マイティーダーク、アンドルディシア、そして皇帝を逮捕、そして更生しないといけない。
ただ、それを阻むようにレイディアと
アージェスはこの根城を破壊しようとエンジン部に向かっていた。
しかし、アージェスの独断で指差した部屋に
興味本位で入ろうとしている光景を見て注意を促す。
″どうせ誰も居ない″
″アッシュとトランドは古城フィンディルから大丈夫″ と
少なからず思っていた。ただ、2人が見た光景が
かつてないピンチを迎える事になるとは知る由もない……
【????】
この扉を開けてくれた感謝をしないとな……!!
ジェットブーツのユニット部分が光り出し、部屋内にエンジン音が聞こえ始めると同時に
彼は勢いよく彼等の前にやって来て、ガッチリとした剛腕で2人の肩を両手で掴み始める。
彼の剛腕がレイディアとアージェス、2人の肩をしっかりと掴み
そのまま飛空艇の部屋から甲板に出て、どこまでも晴れ渡る大空の中へと姿を消して行く。
彼の名前はバロック。
機動警察隊「セクションゼット」のメンバー。
性格が結構荒々しく、無茶な事や派手な事をするのが大好き。
そしてアージェスとは以前まで仲が良かった。何かが ″キッカケ″ で
縁を切られた過去を持っているが、バロック当人は心当たる節が無い。
″もしかしたら彼に悪事を犯したかもしれない″
″罵詈雑言を浴びせたかもしれない″
アージェスの心の中には縁を切られた事が ″悪に纏わる事″ しか身に覚えが無く
それを見抜いた皇帝が、計画を執行する逸材と見抜き
暗躍組織「アンドルディシア」に招き入れた――。
それが明らかになるのは次章……。
ヒルハイドタワー、補強された非常階段――。
当時幹部だったヒョードの兄ネルフが、リオルド、そしてリリカルラビット4匹と
一緒に逃げ出した際にエディールが破壊してしまった為、
長い間、誰も使う事は一切無かったけれど
ようやく修理が完了した。
今までと違う所はこの塔内にいるマイティーダークのメンバー、そして
ボスも窓から監視出来るように、貝殻のような螺旋状の作りになっている事。
15階から落とされたグレイザーは無事にエンディアの手によって救助して貰えたのも束の間……
″やる事がある″ と言い残し、1階の玄関フロアから入る事無く
非常階段を昇っていると、15階の扉の前でブリジスが
佇んでいるのを発見――。
地上班――。
非常階段15階の踊り場でハディーサに向かって
ブリジスが手を振っている光景を見て、落ち着いていられない状況に陥っていた。
ザーッ と言う独特のノイズを出しながら
まるでホログラムが消えたかのように、機動警察隊 ″セクションゼット″のメンバー
フォザードが消えて行く。彼はスキルを持っていない為
突如として消えた絡繰りが掴めない。
そして最後に言い残した事……
それは次章で起きるとんでもない事態に辿り着くなんて、誰も知る由も無かった。
****
そして30分後の出来事……
その間でヒルハイドタワー15階にある研究室で
アルクの蘇生が無事に終わり、役目を終えたブライドゼータは
所有者であるビランの元に返却されて行った。その現場を見て一先ず安心したグレイザーは
再び非常階段に繋がる扉の前で、妹のユズキと久しぶりに会話をしていた。
兄であるグレイザーはもっと近くに寄り添って、妹の頬にキスをし
妹の体型に合うようにと抱きしめる。
元マイティーダークメンバー、グレイザー。
今まで禁忌スキル「枯渇」を悪用し、邪魔なモノは徹底的に排除し枯らし続けて来た。
それはボスであるエディールに認めて貰う為。ただ、彼が悪事を果たしている時も
常に妹の事を想い続け、善の気持ちも胸の何処かに秘めていた為
彼は善の剣であるシャウトシグマを持つ事に成功もし
無事にマイティーダークを抜ける事も出来た……。
ただ、今度は自分が蒔いた種を片付ける番。
そう、彼は最上階にいるエディールと最終決戦を挑みに行こうとしていた。
時はそう待ってくれない……。
****
いつ今度マイティーダークのメンバー″ノルドイド″ ″ディゼール″ の
2人が襲って来るか分からない。それにエディールの動向も気になっていた為
彼は思い切り強く扉を開け、螺旋状の非常階段を
鍛えられた足腰で駆け上がって行く。
しかしながら、そう上手くは行かない。
非常階段を昇るグレイザーの姿が窓に映し出され
素手で窓ガラスを割るノルドイドの嘲るような笑みが襲い掛かる――。
ボトッ と空から何かが水滴のようなモノが垂れて来たと思い
近くの草むらを見ると大量の血液が零れていた。
偶然にも、その時ヒルハイドタワーに
ボスのエディールが戻って来たのと同時刻。
彼が吐いた物だと思い、急いで彼の無事を確かめる為
グレイザー、そしてノルドイドとディゼールの2人は最上階へと足を運ぶ――。
****
ヒルハイドタワー最上階――。
荒い息を立てながら10分掛けて辿り着き、
扉を開けようとノブを回すが、鍵が掛かっていて中へ入る事が出来ない。
瓦割りをするかのように、扉を思い切り叩き割っていく。
ボスのエディールからしたら、マイティーダークの根城の為、
常に綺麗である事を維持しなければいけない。
しかし、今はそんな雄著な事言っていられない為、
急いで壊れた扉の破片を掻い潜り、大広間へと急ぐとそこには
血を吐いて倒れているエディールの姿が……。
ただ、何の返事も無い……。
大量の吐血をした為、気が遠くなってしまい気絶――。
常に自分の中に眠る ″悪″ と戦っていたのかもしれない……
夢、そして寝言の中では常に正直。
今まで言えなかった言葉 ″ごめん″ の一言が
グレイザー、ノルドイド、ディゼールの心を突き動かす。
101話:エジェテールとエディール!遠き日々の過去!! へと続く。