09話:ルドスの覚悟!グレイザーとディゼール!!(前編)
文字数 3,472文字
訓練場「チャートラス」で一時的にスキルの試し打ちを30分間、許可され
村から少し離れた場所でやろうとすると、グレイザーとディゼールが現れる。
そう、今日は彼等の計画発動日。
けれどもグレイザーも鬼ではなく、試用時間は攻撃もせずに彼等を待っている様子。
良いんですか…?
早く事を進めた方が宜しいかと思いますよ!
ふん。あいつ等のスキルなど俺の枯渇からしたら
どうって事はないが、試用時間はいくらでもスキルを使える…!
今揃って攻撃されたらスキを突かれる事、お前でも分かるだろ?
す、すみません…。
冷静な分析、お手の物です…グレイザー様!
まだ時間あるぞ。
あのブライドゼータには未知の力が備わっている…と俺の第六感がそう言ってる!!!
ルドスがそれを使いこなせているか見てやろうじゃないか。
お前もあのオーラ持ってるんだろ? やり方が分からないなら
教えてやる…。まずは込み上げてくる物を
全て悪に染めろ…!!
後はそれを一気に解放するだけだ…!!!
このようにな!!!
えっと、まずはこうですね…。
込み上げてくる物ですか…!!
その調子だ!
もう少しで試用時間が終わる……。
オーラを発揮さえすれば、こっちの勝ちだ!
一方、スキルの試し打ちをしている男性陣、女性陣だが
グレイザーとディゼール登場のせいで集中出来ないでいた。
あの赤い服に、白髪……。
確か木漏れ日の森を枯らしたグレイザーさん……だったよね、ティーネ?
そうだったね…。
確かアルムの好きなビリジロードっていう花を枯らしたんだよね…。
それと…私達を助けてくれた…
アルク…、俺のお兄ちゃんなんだ…!
あ、あそこにいるグレイザーっていう人のせいで…お兄ちゃんは!!!
亡くなったんだよ!
彼のスキル「枯渇」にもがき苦しんで…
落ち着いてなんていられないよっ!!
グレイザーは俺のお兄ちゃんを殺した張本人!
目の前にして…、何も出来ないのが悔しいんだ!!!
あ、後…、アルクさんは
僕を庇ってくれました…。普通あんな事出来ません…!!
彼は決死にグレイザーという敵と心の中で戦っていたと思います…。
弟であるオルガくんに全て託すつもりで "死" を選んだ…。
おい、オルガ…!
全て話してみろ。アルクが何故協力者になったのか…!
それとお前も… "協力者" の一人だよな?
ノルドイド…。幹部「マイティーダーク」の一人。
彼のスキルは「金縛り」…。俺はそいつの協力者だった…!
でも俺はお兄ちゃんの指示に従っただけで、詳しい事は聞かされていなかったんだよ…。
そこまでだ、お前等…。
時間だぞ! さあ、約束通り…
計画実行だ!!!
ルドス、ブライドゼータの準備をしろ…。
俺と戦え! 頬に付けたキズのお返しをしてやる!!!
確かあの表情の後に…枯れたんだよね…。
森も、小屋も、そしてアルクさんも…。
グレイザーの右手に一瞬で枯渇のパワーが溜まり、投げるようにティムとティーネに放つ。
ヤバい! と思いルドスは一目散に彼女達の元に近付き、
ブライドゼータを振り何とか阻止する事に成功した。
おい、グレイザー。お前の相手は俺じゃないのか?
女の子に手を出すなんて最低な奴だな…!!
良いだろう…。俺の本気を見せ付けてやる!!
今更後悔しても遅いからな…。
投げ捨てるようにルドスはライト、そして他の男性陣に
女性陣、そしてリリカルラビット、記憶の断片を守るように伝え始める。
おい、ライト…よく聞け!!
ディゼールはスキル「破壊」を持つ…。
獣拳を信じろ…、お前なら出来る!!
分かった…。お前こそ負けるんじゃないぞ!!
まだ昨日のバトル、決着ついていないんだからねっ!
オルガ…。お前の兄に対する気持ちをグレイザーにぶつけてやるから安心しろ!!
それとナギ、ヒョード。女性陣、そしてリリカルラビットを守ってやれ!
必ず生きて帰って来い…! あまりしたくないけど…
ルドスは滅多な事がない限り笑顔を見せない…。
彼なりの覚悟や責任がある。もちろん彼はビアンラボのスタッフでもある。
同じ同僚であるクロスがヴィルゼートの手によって連れて行かれた事も悔やんでいる。
ルドスvsグレイザー、そしてライト・ナギ・ヒョード・オルガvsディゼールの戦いが始まる。
****
そんな中、ここは訓練場「チャートラス」
スタッフに変装したゼルシード、そして謎の動きを見せるブル。
ブル様、始まるみたいです…。
どっちが勝つと思われますか?
うーん。ブライドゼータと枯渇だよねっ!!
やっぱりグレイザーかなあー。あの人、露天風呂で見たとき身体凄かったから
ゴリ押し…っていう奴でも行けるんじゃないかなー。
でもなー。ブライドゼータは…。
ん、何だこの記憶…? リオルド…、シャウトシグマ…、例の扉…。
それと何でレシールが? うわああああああああっ!!!!
ブライドゼータ…。その名前を何回を呼ぶとブルはまるで
記憶が呼び覚まされたかのようにフラッシュバックを起こす。そしてブルの顔つきが一気に変わる…。
そ、そうでした…。
すっかり忘れていましたね…。
レシールを捕らえて下さい、ゼルシードさん…。
彼女はおそらく…!!!
ブルがゼルシードの耳で囁く内容に彼も驚愕している様子。
それもその筈…。とんでもない事が明らかになってしまったからだ…。それはまだ誰も知らないお話。
****
その頃、ディゼールの魔の手から逃げながらも
ライトは獣拳を駆使して皆を守りながら森を逃げている。
爪の先がもっと尖り、攻撃力をさらにアップさせた状態で相手にクリーンヒットする技で
ディゼールに立ち向かうが、彼も幹部の1人。一筋縄ではいかなく
まるで蛇のような彼の柔軟な身体のせいで全て交わされてしまう…。
所詮こんなモンか、獣拳のスキルは…!!
逃げ惑うのもややこしいので、貴方の負けとして終わりにしませんか?
えっ? 負けてない…、ですか?
良いだろう…。私の本気を見せます…!
キリングクラッシュ!!!
ディゼールは地面に手を当て、大地を呼応するかのように揺らし始める。
そして周りにある大きく育った木々をなぎ倒して行く。
さすがに全ての木がなぎ倒されるのを阻止できず、なぎ倒れた衝動により生えていた枝が
ライトの足に突き刺さっていて負傷をしている…。
うっ…! い、痛い…!!!
や、ヤバい…。このままじゃルドスさんの約束…守れない…!!
で、でも足が…いう事聞かない…!
う、動け動け動け…!!!!
一方、グレイザーと戦っているルドスも疲れが見えて来ていて、押され気味の様子。
ふん。ブライドゼータの力はそんなもんか…!!
引き出してやってるんだから、もっと楽しませてくれよ…!!
それとも降参して、その剣を渡してくれるのか?
つ、強すぎる…。
さっきの技は何とか食い止めたけれど、次食らったら確実にやられる…。
まるでドリルで穴を開けたみたいなパンチを繰り出し、近くの木々を2、3本なぎ倒しながら
ルドスは飛ばされ、ついにパワーが底付きてしまい
ブライドゼータも手元から離れ、地面に突き刺さっている…。どうやら
スキル「枯渇」だけじゃなく相当グレイザーはパワー面でも強い様子。
ぐはぁっ!!(血を吐く)
や、ヤバい…。ブライドゼータは何処!?
勝ち誇ったかのようにグレイザーはルドスの元に歩いて来て、地面に倒れているルドスの腕を踏む…。
うわああああああああああああ!!!!!
や、止めろ! い、痛てぇじゃねえか…!!!
ルドスの腕の骨がバキッと割れるような音と、彼の悲鳴が森に響き渡る。
く、くそっ…!!
ブライドゼータも守れない…!! 皆の事も守れない!!
どうやら俺はここまでのようだ…。
殺してくれ…!! いや、殺して下さい、グレイザー様…!!
誰だ!? 出て来い…。
ルドスと一緒に始末してやる…!!
いや、訂正するよっー。
お久しぶりだねー。僕の事忘れたなんて言わないよねっ!!
その声は…!!
お前も動き出したという訳か…、ブリジス…。
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