34話:幹部グレイザー再始動!ビアンラボとクオーツリミテッド!!
文字数 3,472文字
ファーニブル、そこはグレイザーとユズキが生まれ育った町…。
数カ月前の雪の降る夜、当時ボスの地位に就いていなかったエディールと研究者リオルドの
とある実験により、彼が持つ闇のパワーは格段と上がり両親は殺され、町も消滅してしまった…。
時は過ぎ、幹部として失敗続きの彼に告げられたボスからの言葉は「失格」の二文字。
幹部失格か…。ユズキ、済まない…!
俺はここまでのようだ。エディール様に関わった以上後戻りは出来ない…。
潔いですね…、正直言うともったいないんですよ…。
貴方には十分な体力、そして私の闇のパワーを降り注ぐ事が出来る逸材でしてね…
グレイザーさん…、ビアンラボのスタッフであるユズキ…を
殺せたら貴方をもう1度幹部に戻るチャンスを与えましょう。
分かっていますよね…。本来だったらクロスピアを衝突させて
ビアンラボのスタッフ者共道連れにする予定でしたけど…
その辺は後でエバスに聞き込みをしなくてはいけない…。
さあ、グレイザー…答えを言いなさい。
ダメだ…。いくらエディール様の敵だろうが
俺のかけがえのない妹、そして家族だ…。
家族、か…。
じゃあ、私が殺しましょう。そこを退いてくれないか?
ちょっと待て。ユズキと話がしたい…
少し時間をくれないか?
最後の挨拶か?
良いだろう…。こう見えて私は優しいんですよ…
思う存分、思い出話に浸って下さい…。時間は無制限…
ただ、一緒に逃げようだなんて思わないように…
ここは廃れた町ファーニブル…
何処か物憂げな雰囲気を醸し出しながら、エディールから少し距離を取り二人で会話をし始める。
お兄ちゃんも逃げるんだよー!
何言ってるの!? 約束したじゃん。ずっと一緒だって!
ダメだ!
ユズキ…、お前を大切にしている仲間の元に急げ!
俺の言う事を聞けないのか?
だって…、お兄ちゃんあの時も必ず戻るって言って戻って来なかったんだよー!
それにまた遠くに行っちゃうような感じがする。
もう、遠くに行かないでよー!!
ユズキはグレイザーを必死に引き止めるように涙を見せる。
その涙は今まで一緒に出掛けたり、過ごした思い出の結晶。
両親も無くして、彼女の家族はグレイザーただ1人。
ユズキの目をジッと見つめながら、内ポケットからとある物を出す…
ユズキ、覚えてるか? 俺が汗水流しながら
トレーニングしている時にお前がくれたハンカチだ…。
今でも大切に持っている…。
あっ! お兄ちゃん、大事に持っていてくれたんだねー!
すごく嬉しいよー。私がシャランアゾールで買ったハンカチ。
ここに拳のマークがあるんだよー! お兄ちゃんにピッタリだよね。
分かったよー。お兄ちゃん、シャランアゾールで待ってるよ!
必ず戻って来てね。両親は居ないけど、お兄ちゃんがいれば私は大丈夫だよー!
ユズキ…、お前が流した涙忘れないからな…!!
早く行け!!!
ユズキは必死にファーニブルを後にして、第一に皆がいると思われるビアンラボ周辺へと急いで走る。
しかしながら、彼女を逃がしたグレイザーの光景を見たエディールも指銜えて
見ていた訳ではなく、冷酷な表情をしながら近付き始める…
やはり、ユズキさんを逃がしたんですね…
大体想像していました。答えを聞かせてくれませんか?
もう一度チャンスをくれないか…?
ただ、ユズキだけは殺さない。それを許可してくれるなら幹部に戻る…。
エディール様…、俺に次の指令を…。
ユズキさんは対象外…、後は始末するんだな…。
だったら、貴方に新たな力を授けましょう。
ちょっと苦しいけど、もちろん耐えてくれるよな…!!
あの実験が成功して以来、エディールは自分で闇のパワーを
自由自在にコントロール出来る体質になり、グレイザーの背筋を凍らせるような目付きをし始める。
もちろん苦しいよな…
その痛みや苦しみを闇に変えるがいい…!!
****
ここはシチェール大草原内にあるビアンラボ。
いつまでも施設前で待っているのは退屈だと思った所長のジハイド、そしてクロスは
皆を連れて中へ入り、大きな待機室でユズキの帰りを待っていた。
ユズキちゃん、心配だよねー!
いくらお兄さんがグレイザーさんだとしても、怖いよね…。
いや、それは安心していい…。
ユズキは兄のグレイザーの事をどんな時も思っている事は俺も知っている。
あいつのデスクに常にグレイザーの写真立てが飾ってあって
それを大切にしているようだ…!
写真立てを大切にしているなんて、リオルドさんみたいです!
あっ、そうだ…。
レサリアさん。さっきはクロスピア内でしたので詳しい事はちょっと聞かないように
していたんですけど…、俺の父さんは今何処にいるんだ?
そうでしたね…!
リオルドさんは "シドルフ" さんと "デルシア" さんの二人に助け出されて
現在はシャランアゾールにある "クオーツリミテッド" にて
我々クロスピアのスタッフ数名と共に保護しております。安心して大丈夫です!
聞き慣れない名前が…。
シドルフさんとデルシアさん…、一体どのような人なのですか?
シドルフさん、来て下さい。
君達、この中に見慣れない方がいたのに気付きました?
辺りを見回すゼシア達。待機室にあるソファに座らずずっと立って会話を聞いていた彼こそ
レサリアが言っていたシドルフと言う人物。
【シドルフ】
初めまして、皆さん。改めて言いますね…!
俺はクオーツリミテッドで働くスタッフ、シドルフと申します。
宜しくお願いします!!
最近の若いモンにしたら礼儀が正しいな…。
それに比べてグライド研究所のスタッフや研究員は礼儀が悪い…。
"くだらん!"
あら、グラスさん…。
久しぶりに貴方の"くだらん"発言聞きました。ちょっと安心したわ…。
デュードフォレスト、シャランアゾール、クロスピア…。
様々なクロスウッドの場所を駆け巡ってきたせいで、疲れを見せていると思いきや
皆はきはきとしていて、会話を交わしていた。ビアンラボ内は常に平和であるため、絶対誰にも
邪魔される事はない中、待機室に所長であるジハイドとクロスが入って来る。
よし! 皆揃っているな。
今後の事を考えるぞ。ですよね、ジハイドさん?
はい。現在の状況はかなり厳しいですけど
ルドスさんがシャウトシグマを取り戻してくれたお陰で少し希望が見えて来ました。
リリカルラビットは残り3匹、そして記憶の断片、後は "アレ" さえあれば
ヒルハイドタワーへ潜入出来ます。
ただ、ヒルハイドタワーへ潜入するとなると
必ずと言って、幹部やボスと出くわす事になる。戦う事になるかもしれない…!!
良いだろう…。
シャウトシグマを手に入れた実力を
幹部達に見せ付ければ良いんだろう!? 容易い事だ…!!
ルドスなら言ってくれると思ったぞ!
でも、まずやる事があるんですよね……、ジハイドさん。
はい。確かレサリアさん…。
リオルドさんがクオーツリミテッドにいるんでしたら
誰か彼をビアンラボに連れて来てくれませんか?
先程シャリアさんに連絡が取れました。
アレを所持しているのは彼女ですからね…。
今から3日後にビアンラボに到着する予定だそうです。
俺が行く! オルームも一緒に来てくれないか?
久しぶりの父さんとの再会だ!!
ライトさんなら安心出来ます! 気を付けて行って来て下さい。
シャランアゾールにあるひと際目立つのが
クオーツリミテッドですので、すぐに分かる筈です。
久しぶりに父親と再会出来る喜びに感極まっているライトとオルーム。
リオルド宅を出たあの日から全てが変わった。オルームの目には少し涙が流れている。
それはもちろん、ライトの次に可愛がってくれたお礼もあるし、
今後ともリオルドの役に立ちたいと言う意志…。
****
クオーツリミテッドの館内から見えるヒルハイドタワーを見ているデルシア。
【デルシア】
俺は兄を止める為だったら何だってやる。絶対にお前の悪事を打破してやるからな!!
****
舞台は再び廃れた町「ファーブニル」。
ユズキを無事に逃がす事に成功したグレイザー、彼は彼女を絶対に傷付けないという条件を付けて
エディールにもう1度幹部に戻る事を交渉する。その為にはどんな手段も選ばない…
膨大な彼の闇のオーラがグレイザーに襲い掛かり、いよいよ目覚めようとしていた。
貴方に全て闇の力を捧げました…
さあ、グレイザー…目覚めるんだ…!!
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