55話:死へのカウントダウン!ライトvsスティード!!(後編)
文字数 3,528文字
前回のあらすじ
エディールの命令により協力者であるスティードの猛攻がライトに迫る。
ただ、やはり敵サイドの人間である以上に強い。ライトも頭を強打してしまい戦闘不能に陥る中
息子を助ける為にゼルシードを呼び付ける。
"強さを求める為にスキルなど要らない"。
そう決断したブリジス、キルディー、オルーム、ライトはスキル無所持者となってしまう。
それを嘲笑うようにエディールはスティードの闇を無理に引きずり出し、彼は豹変してしまった…
※ このお話にはグロテスクなアイコンが含まれております。
良いですね…、やはり闇の力は素晴らしい…。
どうですか、スティードさん?
気に入ってくれましたか?
闇が溢れてくるこの感じ、良いな…!もう迷う事はない…。ライト!!!
スキル不必要だと…、笑わせるな。強さが全てだ、ですよね…。エディール様!?
ああ…、そうだ。
スキル不必要で、無能な彼等にスティードさんの力を見せ付けるがいい…。
そして邪魔者は排除だ。まさか、ブルさんもそっちの味方だったなんて残念です…
最後まで信じた私が哀れでした…
…………!!
もうエディール様、こんな事やめましょう…。
何故そこまで強さに拘るんですか? 過去に何かあったからですよね…!
過去に何があったか、貴方達に話した所で何も変わりません…
ライトさん…。スキルが無い以上勝ち目はありません。
さっさとリオルドさんとオルームさんを置いて、死んでくれませんか?
死ぬって…。絶対にイヤだ! 簡単に言う言葉じゃないぞ…。
スティード、スキルが無くたってお前には勝たないと先に進めないんだ…。
皆を連れて次の階へ行くんだ。
期待してますよ…スティードさん。
皆さん…最上階でお会いしましょう。私を楽しませて下さい…。
では、失礼します…。
何を言ってもエディールには何も響かない…
闇だけが彼を強くさせる。瞳に映るのは全て暗黒の世界…
意図も簡単に"死"という言葉を強調する位、兄のレイディアと共に凄絶な過去を歩んで来た。
****
ここはビアンラボの受付。
一人の女の子がジハイド所長の元に来訪したけれど、精鋭部隊としてヒルハイドタワーに
向かったジハイド所長、その下に就いているクロスも居ない為、代わりにスタッフが対応している。
【????】
えっと、ここがビアンラボですよね!
お願いします…、お兄ちゃんを助けて下さいっ!
依頼のようですね、ようこそビアンラボへ!
まずは名前を聞かせてくれるかな?
【リフィー】
リフィーです、宜しくお願いします。
さっそくですけど…。
あ、ここでの長話は避けたいので会議室に来て下さい。案内します!!
****
ビアンラボ、会議室――。
またいつ襲撃される分からないと言う不安を抱えながら
精鋭部隊の帰りを待っている女性陣。
何も出来ないのが悔しいわね…。
この文献を持っていてもリオルドさんが居ないとただの紙切れよ…。
私にも解読できる力があれば…!
いや、研究者として十分ですよ。
ちゃんとリオルドさんを信頼出来ている証拠です…。
逞しいですわ。そして研究熱心な所…、ほらティム。ちゃんと彼女を見習いなさい…!
うん。私シャリアさんみたいな女性を目指したいなっ!
あれ…ティムちゃんにミントちゃんだー!
久し振りだね! 元気にしてた?
あっ、その声は…リフィーちゃんだー!!
本当に久し振りだねっ!
それとミフィールさん、ティアラさんも…。
私の事覚えてますか!?
もちろんよ。あっ、ただ…お兄ちゃんの件は残念でしたね…
あっ、そうだ…
確かリフィーちゃんのお兄さんって…。
えっ、何かあったんですか…?
ヒルハイドタワーと言う場所にお兄ちゃんが居るってブルさんとゼルシードさんに
教えて貰ったので、まずここに立ち寄るようにって言われたんですよ…
えっ、何か話が食い違っているな…。
ちなみに聞くけど、リフィーさんのお兄さんって誰なんだ?
えっと…、
私のお兄ちゃんはアルクで、弟はオルガです!
一緒にヒルハイドタワーに行って助けてくれませんか? お願いします!
ちょっと待って…、確かグレイザーさんと言うお方にアルクさんは…。
えっ、どういう事…!?
話は聞いてます…。
一度グレイザーと言うお方に剥製にされてしまったと。
これ言っていいのかなー? 本当はゼルシードさんに止められているんですけれど…。
興味あるわね。もしかしたらグレイザー様の枯渇には何か秘密がある…とかかしら?
そう…、リフィーは幹部「マイティーダーク」のメンバーである
グレイザーのスキルを喰らってしまい剥製になってしまったアルクの妹にあたる。
ただ彼女の発言と食い違っているようで、彼の持つ「枯渇」に疑いを掛け始めるようになってしまう…
****
その頃、ヒルハイドタワーの1階で
スティードの持つスキル「鎖」に翻弄されてしまい
更にライトは目を怪我を負ってしまい、もう動けない状態…。
ほら、立てよ…ライト!これでおしまいか? 残念だ…。
リオルドとオルームにお別れを告げろ…!!
獣拳が無くなった以上、お前に勝ち目などない…
ダメだ…、強過ぎる…。
だけど俺は諦めない。絶対に家族を手放すもんか…
決めたんだ。スキルが無くなってもお前に絶対勝つ…!!
ま、負けてたまるもんか…!!!
それがお前の答えか…。お前の戦闘本能を呼び覚ましてやる…まずはそうだな…、オルームだ!!
オルームの身体に絡み付いた鎖を巧みに操り、上空に投げる。
そのままスティードは飛び上がり、彼の腹部に目掛けて重いキックを入れられてしまい
血を吐きながら床に倒れ込んでいく。
ぐはっ…。く、苦しい…。
ら、ライトさん…、僕はもう…。
どうだライト、俺が憎いか…!?攻撃してみろよ。分かってるよな、次の標的はリオルド…、お前だ!!
両手に持った鎖をリオルドの身体に巻き付け、成す術ないまま
回りに張り巡らされている窓ガラス目掛けて投げ捨てる。そのまま突き破り
目は充血…、以前ヴィルゼートに喰らった古傷が悪化してしまう中、身体中から大量出血…。
オルームに変装していたシルディートの致命傷も残る中
スティードの鎖の追加ダメージが加わり、どんどん体力が奪われていく様子を目の当たりにするライト。
はぁ…、はぁ…。くっ…。い、痛い…!!
ライト…、お前は皆を連れて最上階を目指せ…。
俺とオルームはここまでのようだ。ようやく会えたのにな…
そんな事言わないでよ…!
守るって言ったじゃん。弱気になるなんて…父さんらしくないよ…!
それにオルームも大切な家族なんだ…。見捨てるなんて出来ないよ…
自慢の息子…ライト。立派に育ってくれたな…、それだけで俺は十分だ。別れは辛いけど、これしか方法がないんだ。こんな父さんで済まんな…。
ほら、オルームも何か言いなさい…。
ライトさん、大好きですっ!!僕とリオルドさんの分まで頑張って下さい…。
必ず助けに来てくれるの待ってますね…。
大量の涙を流すライト…。
家族と過ごした思い出は絶対に色褪せる事などない…
「スキルなど要らない」
本当に分かっていたの?
リオルドとオルーム…二人の為にスキルは必要だったのかな?
それでもスキルを使う事で家族に認めて貰いたかったの?
いや違う。家族を振り向かせる方法はいくらでもある。
使う事を躊躇いながら一緒に過ごしていた日々をライトはずっと胸の中で考えていた…。
しかし今ははっきりと言える。
「もう迷わない!」
うん。分かったよ…、俺達は最上階へと向かう…!
ライト、リオルド、必ず助けに行くから死なないでくれ!!
スティード…、これが俺の決断だ。
もし二人に手なんて出したら、今度こそマジで許さないからな…!!
ああ…、二人を置いて行くならお前等の自由だ。好きな場所に好きなように行けばいい…!!
ただ、この先にはゼロシードが待ってる。場所だけ伝えて置こう。奴は10階にいる…。
奴はスキル「黒鴉」を持っている暗殺者だ。
命の保証はしないからな…。さあ、目障りだ。行け!
皆、これが俺の判断だ…。
家族と別れるのは辛いけど、前に進むしかないんだ…
これでも来てくれるか?
もちろんっー! やっぱりライト君と友達で良かったよー。
エディールがやっている事は間違っているんでしょ?
だったら僕達でそれを証明しようねっ!
スキルが無くたって…
あっ!? 僕ゼルシードさんにスキル解除して貰ってない…
まっ、いいかー。
次会った時に解除して貰おうっと!
じゃあ、ブリジスさんっ、キルディーさん…。それとみんなー
この先に進む覚悟は出来てるー!?
さあ、行くぞ!!
必ずエディール達の悪事を全て暴いてやる!!
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